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 半導体設計に使うEDA(Electronic Design Automation)で業界最大手の米Synopsys(シノプシス)。同社の創業者であり、現在、会長兼CEO(最高経営責任者)を務めるAart de Geus氏に話を聞いた(図1)。同社が開発・実用化した論理合成と呼ばれるEDA(製品名はDesign Compiler)はロジック半導体の設計を変革した。論理合成なくしては、先端のマイクロプロセッサーやスマートフォン向けSoC(System on a Chip)は設計できなかっただろう。この論理合成に匹敵する変革を設計にもたらすのがAI(人工知能)/機械学習だと同氏はいう。その意味を同氏は語った。

図1 Aart de Geus氏
図1 Aart de Geus氏
来日した際に日本シノプシスで撮影(写真:日経クロステック)
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 半導体微細化(いわゆるMoore(ムーア)の法則)のペースが鈍るなか、半導体で処理すべきデータ量は増大する一方である。デジタルトランスフォーメーションやHPC(High Performance Computing)、AI、自動運転/ADAS(先進運転支援システム)、5G以降のモバイル通信など、市場で期待の大きなアプリケーションでは大量のデータ処理が必要だからだ。

 de Geus氏は、求められるデータ処理能力をMooreの法則になぞらえてSysMooreと呼んでいた(図2)。また、SysMooreと区別するために、Mooreの法則をClassicMooreとした。

図2 半導体微細化(ClassicMoore)のペースは鈍る一方で、求められるデータ処理能力(SysMoore)は上昇する
図2 半導体微細化(ClassicMoore)のペースは鈍る一方で、求められるデータ処理能力(SysMoore)は上昇する
(出所:Synopsys)
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