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重力蓄電システムが欧米で台頭、ソフトバンクなどが出資
利用コストの安さでリチウム(Li)2次電池と競合へ
欧米では再生可能エネルギーの大量導入が進み、その出力変動を平準化、もしくは余剰電力を蓄電するニーズが高まっている。その結果、古くてほぼ廃れたような技術からまったく新しい技術までさまざまな蓄電技術や蓄エネルギー媒体に脚光が当たり、それらの開発ラッシュが起こっている。
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軽量ペロブスカイト太陽電池、東芝が量産技術を大幅改善
変換効率もフレキシブルで大面積では高い値を達成
東芝は2021年9月、フレキシブル基板上に形成した大面積ペロブスカイト太陽電池(PSC)としては最高水準の変換効率15.1%を達成した。
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加湿器の原理で薄膜形成、ニコンと東北大が開発
スパッタ法より低環境負荷、低耐熱の素材にも成膜可
ニコンと東北大学多元物質科学研究所教授の蟹江澄志氏は「ミストデポジション法」と呼ぶ新しい製膜法を考案した。この新製膜法は、従来技術の1つであるスパッタ法よりも消費エネルギーを減らせて、かつ樹脂などの耐熱性が低い基板に製膜できる。
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CATLがNaイオン電池、EV向けでLIBと併用
低温耐性の高さや急速充放電性能の高さをアピール
世界最大の電池メーカーである中国CATL(Contemporary Amperex Technology、寧徳時代新能源科技)は2021年7月29日に、ナトリウムイオン電池(NIB)の商用化を開始するとオンラインで発表した。
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NTTとACCESSが提携、IOWNのOSを世界展開
海外顧客への販売体制や保守・サポートが主眼
NTTは2021年7月27日、同社が掲げる光技術を活用した次世代情報通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想の実現に向けて、ソフトウエア開発を手掛けるACCESSと業務提携すると発表した。両社は、IOWN構想の一環で開発を進めるオー…
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EVメーカーがベンチャー争奪、大穴はIBM発「革命的」電池か
負極に金属リチウムやSi、組成非公開の電池メーカーに群がる
電気自動車(EV)向けの車載電池の大規模量産計画とそのための兆円単位の投資発表ラッシュが続いている。フランスRenaultグループと日産自動車は2021年6月末と同7月1日に、フランスで約24億米ドル、英国で約14億米ドル、計38億米ドル(約4200億円)の規模のLiイオン2次電池(LIB)製造工…
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有機薄膜パネルの効率急上昇、18%台で多結晶Si並みに
塗るだけ、折り曲げ可、軽い、高効率の4拍子がそろう
「塗って作れてしかも安い」あるいは「紙のように曲がり、そして軽い」といった性質を持ち、それでいて非常によく発電する夢の太陽電池の実現が近づいてきた。有機材料を積層してできる「有機薄膜太陽電池(OPV)」の変換効率がこの2年半で急上昇し、最新の研究成果では18%半ばに達しているのだ。
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CO2減少でドライアイス不足、シャープ、水系蓄冷材で代替へ
融点−22℃、従来材より凍結工程の省エネが売り
冷凍食品輸送でのドライアイスの代替を目指す─。カーボンニュートラル(炭素中立)の実現を目標に二酸化炭素(CO2)排出削減に産業界がアクセルを踏むなか、シャープが新たな挑戦に乗り出している。同社は2021年5月24日、冷凍輸送時の蓄冷材として活用できる、融点が−22℃の「適温蓄冷材」を開発したと発表…
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PFNと鹿島が建築現場清掃ロボ、ティーチングなしですぐ稼働
自律移動ロボの悪条件だらけを深層学習で克服
深刻な人手不足やコロナ禍での3密回避のニーズなどによって、人と協働するサービスロボットの現場導入が多くの業界で本格化しようとしている。しかし、ロボットを導入したくても現実には人がタスクをこなした方が面倒がなかったり、コストに見合わなかったりといった理由で導入ができていない現場もある。その1つが建築…
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東レが排ガスも“浄化”へ、熱なしで高効率にCO2を分離
浄水器の中空糸技術×炭素繊維技術で実現
家庭用浄水器の中空糸などの水処理膜、および炭素繊維を開発する東レは、その2つの技術を応用することで工場の排ガスを“浄化”、つまり二酸化炭素(CO2)を分離・回収する技術を開発した。中空糸状の炭素繊維で作ったろ過膜「“オールカーボン”革新CO2分離膜」(東レ)である。同社の浄水器で利用する中空糸状ろ…
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数百人の生体情報無線取得、OKI、教育現場向け体調管理
920MHzのマルチホッピングで低コストに
沖電気工業(OKI)は、学校の運動場などに散らばって動き回る大勢の人の生体情報を、センサー無線ネットワークを用いてリアルタイムに取得することに成功した。実証実験では、運動中の人の体温や脈拍などの生体情報を90%以上のデータ収集率で取得できることを確認した。
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パナが熱制御のナノ構造で、赤外線センサーの感度を10倍
微細な周期構造で原子振動を抑制し、熱の伝導を制御
物質内の熱伝導を制御する「フォノニック結晶」をパナソニックが世界で初めて産業応用した。フォノニック結晶は、孔径数十nmの周期的な空孔で構成される人工結晶であり、熱の伝搬を担う原子振動を干渉・散乱して、物質に熱を通りにくくする。
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ギ酸作る人工光合成で7.2%、豊田中研、30年の実用化目指す
太陽電池利用で高効率化と大規模化を同時に実現
豊田中央研究所は2021年4月21日、太陽光と二酸化炭素(CO2)、および水(H2O)からギ酸の塩を合成する人工光合成技術で、太陽光からギ酸へのエネルギー変換効率7.2%を実現したと発表した。
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水素キャリアから直接燃料へ、液体アンモニアを安定燃焼
東北大が開発、IHIが商用化を目指す
温暖化ガスを出さないアンモニアをガスタービンの燃料として利用する研究開発が活発化してきた。東北大学は液体アンモニアを燃料として直接燃焼させることで、火炎を安定化させる技術を開発した。
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EVやスマホの筐体が電力源に、街乗り車なら追加電池不要
電池の負極にカーボンファイバーを利用
電気自動車(EV)や電動飛行機、スマートフォンから電池パックが“消える”可能性が出てきた。
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NTTが富士通とIOWNで提携、光電融合の試作・製造を手中に
NTTエレが富士通アドバンストテクノロジを子会社化
「(資本提携から包括的協業となった)NECのケースとは異なり、今回の富士通との協業は当初から、既存のコンピューターを変える、光半導体を作ろうという明確な狙いがあった」─。2021年4月26日、富士通と業務提携を正式発表したNTT社長の澤田純氏はこう打ち明けた。
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ソニーが限界突破の撮像素子、SPADを使い、CMOSを超える
ISSCC2021で成果を披露
ソニー(ソニーセミコンダクタソリューションズとソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)はダイナミックレンジ(DR)が124dBと広く、かつ撮影速度が250フレーム/秒(fps)と高い、新しいイメージセンサーを試作した。
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水電解で想定外の新触媒、京大が材料費1/10で高耐久
不適とされてきたルテニウムがカギに
ゼロカーボン時代に向けて水素の活用に注目が集まっている。そこでカギとなる技術が、再生可能エネルギーの電力によって水から水素を取り出す水電解だ。ただし、水電解の核となる触媒には現在課題がある。触媒が高コストである上に、アノード(酸素発生極)が溶出してしまい、性能低下を招くなどの耐久性の問題があるのだ…
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ルネサス主力工場火災で顕わに、自動車メーカーの思慮不足
2021年4月下旬~5月下旬に大きな試練
ルネサス エレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で2021年3月19日未明に発生した火災によって、同社主力の車載半導体などの生産ラインが停止した。4月下旬までは仕掛かり品を使うため、出荷が続けられるが、その後は出荷が完全に止まる。
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超電導コンピューターが離陸へ、スパコンの電力を1/2000に
量子コンピューターの制御にも利用
脱炭素時代の到来に合わせて、コンピューターの消費電力を圧倒的に低減する技術が登場してきた。それが「超電導コンピューター」だ。横浜国立大学 工学研究院 知的構造の創生部門 教授の吉川信行氏の研究室は、4ビット動作の超電導RISC型マイクロプロセッサー「MANA 1」を開発した。