米Appleの新型iPhone「iPhone XS」と「iPhone XS Max」を分解した。基本的な設計は、2017年に同社が発売した「iPhone X」と共通部分が多い。ただ、通信関連ICが米Qualcommから米Intelへと、大きく変更された部分もある。Xでは2つあった電池を、XSでは1つのL字型電池に統合した。X線で解析した結果も紹介する。
米Appleは2018年9月、同社のスマートフォンiPhoneの最新モデル「iPhone XS」(XS)と「iPhone XS Max」(Max)を発売した(図1)。
同社がアピールする、2017年発売の「iPhone X」(X)との大きな違いは、(1)マイクロプロセッサーが「A11 Bionic」から「A12 Bionic」になり、全6コアあるうち2つの性能コアが最大15%高速に、4つの効率コアが最大50%低消費電力になった、(2)GPUのグラフィックス処理性能は最大50%高速になった、(3)ニューラルエンジン、特にカメラの映像にCGなどを重畳するAR(拡張現実感)向け「Core ML」の動作は最大9倍高速になった、(4)電池の連続駆動時間がXSは30分、Maxは1時間半長くなった、(5)従来のnano SIMに、内蔵のeSIMを加えたデュアルSIM対応になった、(6)記録容量が最大256Gバイトから同512Gバイトになった、といった点だ。
電池はXSだけL字形
XSとMaxをそれぞれ分解して注1)、まず目に飛び込んできたのは、大きなLiイオン2次電池(LIB)だ(図2)。MaxのLIBは、Xと同様、2つのLIBを並べて配置しているのに対し、XSではパッケージ自体がL字形をした1つのLIBになっている。
そのL字形の隙間の空間に収められているのが、2枚の基板を張り合わせた“2階建てメイン基板”で、やはりL字形をしている。これもXと同様だった。2階建てにすることで電池向けスペースを可能な限り大きく確保することを狙ったと考えられる。