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推進系を従来の内燃機関からモーターに置き換えた電動航空機。既に1~2人乗りの固定翼を備えた小型機が実現されている。これに加えて、10人前後を乗せて数百kmから1500km程度を飛行する電動航空機の実用化が見えてきた。この機体を利用した「電動版ビジネスジェット」の商用サービスが2022年ごろに始まりそうだ。

 10人前後を乗せて、およそ100~1000マイル(約160k~1610km)離れた都市間を飛行する「ビジネスジェット」。その推進系を従来の内燃機関からモーターに置き換えた「電動版ビジネスジェット」の実用化が現実味を帯びてきた。2018年9~10月にかけて、複数のスタートアップ(新興企業)が同機の飛行試験を2019年に実施すると相次いで発表した。

 航空機メーカーでは、米Zunum Aeroや米Wright Electricがそれぞれ、乗客数10人前後の電動航空機の飛行試験を2019年に実施することを明らかにした。電動航空機に向けた高出力・高密度のモーターを手掛ける米国の新興企業magniXも、出力500kW超で750馬力相当のモーターを小型航空機に搭載して、2019年後半に飛行試験を行う予定だ。

 こうした取り組みが順調に進めば、2022年ごろには電動版ビジネスジェットの販売や同機を利用したチャーターサービスが始まる。これを皮切りに、数十人といったより多くの乗客を乗せられる中型の電動航空機の実用化も視界に入ってくる。

 magniXの試算では、電動航空機によって運用コストを低減できる結果、同社が本社を構えるシアトルとスポケーンのような周辺都市からの航空運賃を1/3以下にできるとみる。

電動化で需要喚起

 電動航空機や電動推進系を手掛ける企業は、ビジネスジェットや「リージョナルジェット」と呼ばれる、小~中型の航空機の電動化に対する潜在需要は大きいとみている。米国のように、高速鉄道網がそれほど発達していない地域では、100~1000マイルの移動にはビジネスジェットやリージョナルジェットを多用する。だが、燃費が悪く、運用コストか高くなりがちだという。

 電動航空機であれば、燃費向上や構造の簡素化によるメンテナンス負荷の軽減などが可能になるので、こうした課題の解決につながる。例えばZunum Aeroの試算によれば、ハイブリッド化によって、乗客10人前後の小型航空機の運用コストを1/3~1/5にできるという。

 電動化によって小型機や中型機の運用コストを下げて、航空運賃を大幅に安くできれば、数百マイルを移動する航空機への需要が現状よりも一気に高まる可能性がある。そのため、スタートアップが好機とみて参入しているのである。