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波長と測距に新手法

 車載センサーの厳しい競争環境で採用を拡大するため、特にLiDAR専業メーカーは、低価格化しやすいメカレス型を前提に、特徴ある新技術を開発中だ(表1)。このうち第2世代メカレス型で取り入れようとしている新技術は、主には波長や距離計測手法を工夫したものだ(図1)。

表1 LiDARの開発例
主にメカレス型。Ceptonの走査部はメカ型だが低価格化しやすいとする。他に自動車・車載機器・ICメーカーも開発。Velodyneはメカレス型の仕様を非公開、車載電子機器メーカーのスウェーデンVeoneerと協業中。(表:各社資料を基に本誌作成)
表1 LiDARの開発例
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目に安全なµm光を高出力化

 波長については、既存のLiDARの多くは905nmなど900nm前後を使う。これに対して第2世代メカレス型は、1550nm(1.55µm)や10µmに長波長化する。長波長光には、主には2つの利点がある。

 1つは太陽光の影響を受けにくいこと。太陽光の地表でのエネルギー密度のピークは500nm付近であり、900nm前後から波長が長ければエネルギー密度は低くなる(図4)。昼間にレーザー光にとっての雑音となる太陽光が減るため、受光部のSN比(信号対雑音比)を高めやすい。

図4 長波長化と“レーダー化”が進む
図4 長波長化と“レーダー化”が進む
左のグラフは太陽光のスペクトラム。長波長ほど太陽光のエネルギーが少ない。目への影響も少なくなる。右はレーザー光の反射光から距離(R)を読み取る手法の3つの例。振幅検知ではパルスの時間差(⊿t)、位相検知では位相差(⊿Φ)、周波数検知では周波数差(⊿f)を使う。今後は、レーダーで使われている周波数検知が主流になりそうだ。(右の図:Oryxの図を基に本誌が作成)
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 もう1つは出力強度を高めやすいこと。レーザー光に対しては、人の目に対する安全性から、900nm前後の波長でIEC(国際電気標準会議)が出力に上限を定めている。光線が目の水晶体を通して網膜に吸収されると、網膜が損傷する恐れがある。1400nm以上の波長のレーザー光なら網膜に吸収されず、IECの規制対象外となる。原理的には、強い光線を出して受光部でのSN比を稼げる。