PR

農業用ドローンが農地や作物の状態をモニターするサービスがあるが、それをトラクターで行うということか。

Kvezereli氏:トラクターは通常の作業をしながら、1フィートの距離から作物の高解像度画像を撮影し、葉の健康状態などを分析する。傷んでいれば、その原因も推測する。同様に大気については温度、湿度、放射線量、水については降雨量、農地表面の水量、灌漑の水などをモニターする。小さなアームで土壌のサンプルを採取する。

機能については、どんな利点があるのか。

Kvezereli氏:整地と作物管理においてAI、機械学習、自走技術を合体させた利点を提供する。整地では、いつ農地のどこから始めてどんなルートを辿ると最適かを計算する。どんな作物を植えるのかなど用途によって走行スピードは変わってくるため、トラクターをどう走らせるかは重要なポイントだ。作物管理では、普通植え付けをして除草できる期間は数日と限られているが、コンピュータ・ビジョン技術を利用してどの程度雑草が密集しているか、どんな雑草かを判断する。ディスク耕(金属の円盤を用いた耕し)での除草も行う。いずれ電池は交換可能にして、24時間毎日作業ができるようにしたい。

現在倉庫ロボットでは、AGVなどの自走台車がプラットフォームとなり、そこに必要なハードウエアやソフトウエアが開発されるといったことが起こっているが、Ztractorもそうしたプラットフォーム化を目指しているのか。

Kvezereli氏:それはまだわからない。しかし、我々のコンピュータやAIは、追加機能を実装するのに十分なはずだ。

テストはどこで行っているのか。また、どこの市場を対象としているのか。

Kvezereli氏:テストは、カリフォルニア州セントラル・バレーの数カ所で行っている。対象とする地域は、米国西海岸、カナダ、日本、ドイツ、ノルウェー、デンマークなどだ。最大の市場は高品質な作物を目指すサステイナブル農家(環境負荷の低い形態の農業)で、こうした国々が電動トラクターにかねて関心を持っていた。

出荷予定はいつか。どのようなビジネスモデルを計画しているのか。

Kvezereli氏:2019年中に出荷したい。市場の関心によってその後の製造計画を立てる。自走トラクターはRaaS(robot-as-a-service)ではなく、売り切り型で販売する。ただ、1作物について毎月基本的なデータと分析を提供するというモデルだ。

競合企業はどこか。

Kvezereli氏:トラクター・メーカーは全て競合になる。100年以上の歴史を持つ大手メーカーもあるが、彼らにとって電動トラクターや自走トラクターを開発するのは大きな変化だ。自動車も電動化するのに20年かかった。市場に先んじて、我々が自走の電動トラクターでリーダーになりたい。

基本的なトラクターをロボット化するというアプローチには、手応えを感じているか。

Kvezereli氏:リサーチやデモを通じて、現時点の市場には非常に合っていると考える。作物をアームで収穫するような農業ロボットが、実際に農場で稼働しているのは見たことがない。複雑な機構のロボットが出現して人間の労働者を置き換えるというのは、農業ではまだ先の話だ。ただし農作業がコンピュータ化されるのは必須で、当社もデータ、処理、スピードなどの点でどの程度の機能性が必要か、そして最適な電池のサイズは何かなどについては、今後モデルを進化させながら調整していきたい。

瀧口 範子(たきぐち・のりこ)
フリーランス・ジャーナリスト
シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に広く寄稿する。米国を中心にしたロボット情報サイト「robonews.net」を運営。