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眼底から超早期発見を目指す

 認知症の前段階であるMCIよりも、さらに前の状態での検知を目指しているのが、ベンチャー企業のアドバンスドレーザーテクノロジーだ。独自技術で眼底画像を調べ、認知症の原因とされる物質が脳に蓄積する前に、眼底に集積するのを検知する(図6)。

図6 眼底画像から認知症の早期発見を目指す
図6 眼底画像から認知症の早期発見を目指す
(写真:日経クロステック)
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 赤外線レーザーを網膜に照射して眼底画像を撮影して確かめる。検査時間は両目合わせて1分程度になる。アドバンスドレーザーテクノロジーの技術的な特徴は、波長可変のフェムト秒レーザーを活用すること。分解能が1.3µmと通常の眼底検査装置よりも細かいため、眼底の構造を詳しく解析できるとする。さらに波長を変化させることで、組織の物性の識別もできる。構造と物性の両面から認知症の超早期発見を目指す。

 ハードウエアの設計は終了しており、現在は解析などに向けたソフトウエアを開発中。2020年夏にもアルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβの影響を受けたマウスと、通常のマウスの違いを解析する動物実験を開始する。

 実験が成功すれば2024年にも他社へのライセンス供与などの形態を含めた実用化を目指す。実験機は民生品の部品で構成しており、OCT(光干渉断層計)と呼ばれる既存の眼底検査装置をやや上回るコストで実現できる可能性があるとする。