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 2019年1月に米国のシリコンバレーで発足した建設ロボットの業界団体「Construction Robotics Forum」の1周年を記念し、サンフランシスコで2020年3月2日(現地時間)に関連イベントが開催された注1)。同団体は、竹中工務店などの建設業界の大手企業や新興企業などがNPO団体の「Silicon Valley Robotics(SVR)」と発足させたものである。

注1)新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれたが、同日時点で米国ではまだ深刻化しておらず、サンフランシスコ市における外出禁止令も敷かれていなかった。なお、会場入り口には手指用の消毒液が置かれ、来場者には携帯用消毒液が配られた。

 イベントでは、10社超の新興企業がそれぞれ講演や、会場後方での関連展示を行った。主催した竹中工務店によれば、建設現場における休憩時間を除いた1日の現場作業時間450分のうち、例えば資材の移動などの(1)準備作業で90分、各部材の設置位置などの印や線を現場に描く(2)マーキング作業(墨出し)で105分、1日の終わりに実施する現場の(3)清掃で15分と、3つの作業で半分近くを占めるという。これらをロボティクス技術で自動化し、生産性の向上や人手不足の対処を目指す。これまでもロボットを開発し、現場で運用してきた実績があるものの、「多くが現場ごとに最適化を図った『一品もの』で他の現場に流用するのが難しく、割高だった」(同社関係者)。そこで、さまざまな現場で利用できる汎用性を高めたロボティクス技術を自社で開発するほか、フォーラムを通じた活動によって新興企業と接点を持ち、同企業が持つ技術を活用する方針を採る。