相次ぐあおり運転事件を受けドライブレコーダーの市場が拡大している。全方位を録画したいというニーズから、高機能化・高価格化も進んでいる。今後5G対応によるクラウドとの連携によって、単なる録画装置を超えて、新たなビジネスを生みだすキーデバイスとなりそうだ。
大きく拡大しつつあるドライブレコーダー(ドラレコ)市場。国内での出荷台数は右肩上がりに伸びており、2017年前半に比べると2019年後半には3倍以上にまでなった(図1)。
市場が拡大した最大の要因は、相次ぐあおり運転事件だ。ドラレコの存在によって、あおり運転を抑止したり、被害を受けた際の証拠として利用したりする目的で設置する人が増えている。
ドラレコは、以前からタクシーなどの商業車両で多く使われていた。その後、2012年に京都で発生した暴走車両の事故や、2013年ロシアでの隕石の落下、2015年に台湾で起きた航空機の墜落事故など、ドラレコで撮影された映像が報道されたことで徐々に認知が高まってきた。
その後、あおり運転による交通事故が身近な出来事になったことで、爆発的に販売台数が伸びた。2017年10~12月期は前期比で約40万台増と約2倍になり、2019年7~9月期は前期比で約20万台増加しているのが図1から分かる。特に2019年9月は、常磐自動車道でのあおり運転をきっかけとした殴打事件と消費税増税前の駆け込み需要が合わさった。「過去最大の売り上げを記録し、翌月販売分の在庫がなくなるほどだった」(JVCケンウッド オートモーティブ分野 事業企画本部 第2企画部 第1企画グループ 主席課長の吉川悟史氏)。