全2276文字
PR

 1980年代に米University of Utahのスピンオフとして創設されたSarcos Robotics社(サルコス・ロボティクス)は、これまで人間の力を増強する巨大ロボットアームなどを開発してきたことで知られる。その同社が現在、産業用エクソルケルトン(装着型ロボット)に取り組み、2021年春に一般製品の製造を開始する(図1)。同社CEOのBen Wolff氏に聞いた(図2)。

図1 新製品のGuardian XOの外観
図1 新製品のGuardian XOの外観
軍事用に使われてきた技術を産業用に転用した。(写真:Sarcos社)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 Ben Wolff(ベン・ウルフ)氏
図2 Ben Wolff(ベン・ウルフ)氏
米Sarcos Robotics社 会長兼CEO兼ディレクター。前職は知財投資を行うPendrell社(前ICO Global Communications)で会長兼CEOを務め、さらにそれ以前は、自身が共同設立し、後にSprint社に売却された通信会社Clearwire社で会長兼CEO職にあった。ワイヤレス移動体通信産業協会(CTIA)のディレクターを務めた経歴も持つ。米Northwestern School of Law, Lewis & Clark College で法学士、米California Polytechnic State Universityで理学士を取得。(写真:Sarcos社)

Sarcos社は、軍事用ロボット開発会社として長い歴史を持つ。産業用にも進出する背景は。

Wolff氏:2000年以来、米DARPAや米国防総省の他機関と仕事をしてきて、軍事用と同タイプのシステムが商用、産業用にも利用できることがわかった。そこで大手企業にも聞き取りをして需要のあることを確かめ、3年ほど前に開発を始めた。Sarcos社のロボットはもともと軍事用とは言え戦闘用ではなく、ロジスティクスや製造用に利用されてきた。

人間のオペレーターが巨大なアームを操作するGuardian GTが有名だが、新製品のXOにも転用された技術は何か。

Wolff氏:多くの制御システムやセンサをソフトウエアや制御アルゴリズムに統合する方法は、マシンを直感的に操作できるようにするために共通している。人間の動きに正確に追従し、人間と同じデクスタリティー(器用さ)を実現する。歴史的にロボット・システムが抱える問題は、人間のデクスタリティーを持たないことだ。Guardian XOはウエアラブルなヒューマノイド・ロボットと言えるが、操作が直感的なため中に入るオペレーターはタスクに集中できる。