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モキシーの構成を教えてほしい。

Thomaz氏 移動台車は提携する米Fetch Robotics社製で、多くのセンサと優れたナビゲーション・テクノロジーを搭載している(図2)。LIDARとカメラのデータを利用して屋内のナビゲーションも可能で、まずその環境を地図にして、それに従って自己位置推定とナビゲーションを行う。アームは、カナダKinova社のJacoを利用し、グリッパーはRobotiq社製だ。手首部分には、カメラやマイク、加速度計などを盛り込んだ独自開発のマルチモーダル・センサパッケージを搭載している。それがロボットが行うタスクのモデル化をサポートする。胴体部分にはコンピュータや通信デバイスがある。

図2 既に病院で稼働
図2 既に病院で稼働
病院の資材保管部屋でピッキングなどをしている様子。(写真:Daniel Cavazos)
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モキシーは特定のタスクを繰り返すように設計されているのか。

Thomaz氏 モキシーには、特定の環境における一連のタスクを搭載する。顧客と一緒に、決められた場所からモノを取ってくるとか届けるなどのタスクを設定し、スケジュール化したり必要時にリクエストしたりできる。我々は、そのスキルを新しい環境にもダイナミックに適応させられるところに開発の焦点を当てている。そのAIソリューションが他社にない強みだ。

AIソリューションでは、どの程度の適応性が可能になるのか。

Thomaz氏 われわれは、ロボットはデモンストレーション(例示)によって学習すべきだと考えており、そのための機械学習の計画を立てている。顧客の病院で最初の数日をかけ、テレオペレーションによって、開けるべきすべてのドアや行うべきすべてのタスクを教える。別の場所でドアが閉まっていて異なったハンドルがついていても、ドアは開くべきでハンドルはこのように動かすといったことがわかるというものだ。新しい環境でも、タスクの一部は既に理解したものとしてスタートする。

現在いくつのタスクができるのか。

Thomaz氏 2つのカテゴリーに分けられる。1つは、モノを病院内で移動させることだ。病院では薬品、検体など多様なモノが移動する。どこに運営上のボトルネックがあるのかを顧客と一緒に特定して、運搬を自動化する。台車部分に用途に合った容器を設ける。もう1つは、物資の在庫レベルをモニタリングすることだ。毎日、何カ所かのサプライ室へ走行して写真を撮る。

タスクの遂行スピードは?

Thomaz氏 詳しいスペックは公開していない。ただ言えるのは、人間とロボットの速度を比較しないということだ。要は、モノを取ってきたり届けたりといった人間にとって意味のないタスクは、ロボットに任せるべきだ。しかも、ロボットはそのタスクを最適化することもできる。

現在はテスト中なのか。何カ所の病院で利用されているのか。

Thomaz氏 既に製品を展開している。テキサス州ダラスの2病院で導入されており、同医療ネットワークの他の病院にも2020年中にさらに導入されるだろう。

1病院当たり何台のモキシー導入が適切か。

Thomaz氏 病院との契約はサービスレベルを基にしているので、そのサービスに必要な台数のモキシーを提供する。だいたい100床に対して1台が適正だと考えている。

どんなビジネスモデルで運営するのか。RaaSか。

Thomaz氏 そうだ。月当たりの課金を行う。特に現時点では大規模な顧客が相手で、また製品も初期のものなので、契約形態はシンプルでありながら最高のサービスが提供できるようにしたいと考えている。ダッシュボードもあり、様々なメトリクスが一覧できる。

コロナ禍の影響は受けたか。

Thomaz氏 テキサス州で感染が拡大したのは3月だった。それまでも潜在顧客と話を続けていたが、コロナ禍によってモキシーの存在理由がより理解されたと思う。病院のスタッフは効率的に動かなければならないし、人々の間を多くのスタッフが走り回っているのは安全でない。3月以降は、既に導入されている病院でのモキシーの利用は高まった。テストキットや検体の搬送、ジャスト・イン・タイムの個人用防護具搬送に使われていた。

現在の課題は何か。

Thomaz氏 スタートアップとしては成長段階にあり、どれだけ速く拡張できるかが挑戦だ。また、コロナ禍中でわかったのは、モキシーの導入プロセスを簡素化しなければならないということだ。病院側は手一杯だから、少ない人数で搬入、設定し、すぐに使えるようにする。従来ならば、スタッフをしばらく送り込んで現場の教育に当てたりしたが、そうした手厚いサービスもこの環境下では安全性を脅かすことになる。

今後のロードマップをどう描いているか。

Thomaz氏 顧客側では、使うごとにモキシーの新しい利用方法を見出している。顧客中心的な視点に立って、われわれのプラットフォームをフレキシブルに保ち、新たなスキルに適応できるようにする。スキルを追加するようなアップデートは、定期的に行っていく計画だ。