全7307文字
PR

障害物は自動で避ける

 Spotは、ネットワークを介して外部のコンピューターからコマンドを受け取って動作する。付属する専用のコントローラーの場合は、搭載した十字ボタンを2個使って直感的な操作ができる注1)。操作感や操作方法は、ドローンのそれと似ている。パソコンなどからは、Spotが用意したRPC(Remote Procedure Call)ベースのサービスを呼び出すプログラムを使って操作する。

注1)専用コントローラーは十字ボタンを2個搭載したAndroidタブレット端末に専用アプリを搭載したものである。

 Spot自体にも、障害物回避や自律走行の機能があらかじめ組み込まれており、半自動操作が可能である。具体的には、進行方向に障害物がある場合、その障害物を回り込むように避けて、目的地に向かう。自律走行ではあらかじめ、Spotに巡回させたい経路を歩かせて、記録することで、以後、同じ経路を自動で歩かせることができる。

 周辺の環境認識のために深度カメラと魚眼カメラを備える。360°周辺を監視するためにこれらを前方に2個、左右後方にそれぞれ1個ずつ、計5個備える(図3)。深度カメラには、米Intelの「D430」が採用されている。赤外線のパターンを周囲に対して発光し、2眼のカメラからのパターンの写り方の差で、距離を検出する。10cm~10mの距離にある物体に対する距離を測定可能である。ただし、Spotは4mまでの範囲で、地形判定を行うという。

図3 5個の深度カメラで半自律走行
図3 5個の深度カメラで半自律走行
Spotには、前方に2個、側方、後方にそれぞれ1個、計5個の深度カメラを搭載する。コントローラーや外部プログラムからのコマンドによって動作するが、障害物などは自動で避ける。(写真:加藤 康)
[画像のクリックで拡大表示]

 Spot搭載のカメラから、APIを介して映像を取得することは可能だが、周辺環境監視用のため解像度は低い。そのため、高解像度で周辺環境を得るためには、別途カメラを用意する必要がある。

背に拡張機器を搭載可能

 Spotと外部機器との通信は、WiFiまたはEthernetで行う。WiFiに関しては、Spotがアクセスポイントにも、クライアントにもなれる。SpotをWiFiのクライアントとし、インフラ側に複数のアクセスポイントを用意しておけば広いエリアを活動させることが可能だ。また、WiFiまたはEthernetと移動通信のブリッジになる移動通信端末を用意すれば、WiFiのインフラを気にすることなく遠隔からの操作も可能になる。

 Spotの背には、外部機器を装着するためのレールが用意されている。ここにBoston Dynamicsが販売するオプションパーツや、独自の周辺機器、カゴなどをネジ止めできる。機器とSpotとを接続するためのコネクターも背の部分に2個あり、電源供給、Ethernetによる通信などが行えるようになっている。

 例えば、背の部分に、温度センサーを搭載し、巡回時に空間の温度を記録していくといったことができる。また、同時にパソコンを背に搭載し、ここにセンサー情報を解析するプログラムを搭載することで、異常な温度の場所が見つかった場合に、管理者に発報するといったシステムを開発することもできる。(中道 理)