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Spotに蛇の頭のような手が登場
ドア開けや弁の開閉が可能に

 Boston Dynamicsは2021年2月2日(米国時間)、Spotに取り付けるロボットアーム「Spot Arm」を発表した(図A-1)。同社のWebサイトでは、セールスへの問い合わせのみ受け付けており、販売価格や出荷時期は明らかにしていない。

図A-1 レバー操作も可能なSpot Arm
図A-1 レバー操作も可能なSpot Arm
ハンドルやレバーの操作、ドアを開けて通り抜けることが可能。また、物を掴んで背中のカゴに入れたり、チョークを持たせて、道路に文字や絵を描かせることもできる。(写真:Boston DynamicsのYouTube動画をキャプチャー)
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 Spot Armは、Spotの前方上部に取り付けるオプションパーツで、蛇の口のようなグリッパーが付いた6軸のアームである(図A-2)。グリッパーの内側には4Kのカメラとライトが付いており、掴む物体を確認できる。物を引きずって移動させたり、背中のかごに物をつかんで入れたりすることもできる。また、ドアノブを回してドアを開けたり、バルブを開閉したりする機能があらかじめ用意されている。おおよそ人が把持できる大きさの物であれば、グリッパーで掴めるとしている。

図A-2 6軸アームとグリッパーで構成
図A-2 6軸アームとグリッパーで構成
Spotのアームは6軸と、グリッパーの1軸の7自由度を持つ。グリッパーに距離画像センサーと4Kカメラを持っており、これを使って目標物を掴むことができる。(画像:Boston DynamicsのWebページ、表はBoston Dynamicsの情報を基にDigitalBlastが作成)
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ドア用など3つのサービスを用意

 グリッパーはコントローラーを使うか、ArmサービスのAPIを使ってプログラムから制御できる。プログラミング用には、グリッパーで物を把持するための「Manipulation」サービス、アームで物体を押すための「ArmSurfaceContact」サービス、ドアを開けて通り抜けるための「Door」サービスを用意している(表A-1)。

表A-1 Armサービス
API サービス概要
Manipulation Service Spotが物体に向かって歩いて行き、それを拾う動作を実行する
ArmSurfaceContact Service アームで表面を押しながら動かす動作を実行する
Door Service アームでハンドルを掴み、ドアを開けて通り抜ける動作を実行する

 Manipulationサービスは、目的とした物体を掴んだり、アームを動かしたり、掴んだ物を離したりする機能を提供するサービスである。アームを動かしただけでは届かない場所に物体がある場合、Spotの本体を動かして目的の物体に近づく機能も提供する。

 ArmSurfaceContactサービスは高精度な位置移動が必要な場合に使うもので、アームで物を押したり、グリッパーに持たせたチョークで文字を書いたり、ぞうきんで拭き掃除をさせたりすることが可能である。

 Doorサービスは、ドアに関するパラメーターを与えておくことで、ドアを自動で開けて通り抜けることを可能にする。

安全性は高くない

 なお、アームを取り付けたSpotには近づくべきではないようだ。人との共同作業を考慮した安全機能は搭載していないからだ。

 Spotの本体には、近接認識による衝突防止機能が備わっているが、アームには近接認識がない。また、障害物や人が動作経路上にあっても、アームには接触を防ぐための衝突回避機能がない。あるのは、アーム、Spotのボディー、およびボディーに取り付けられたペイロードとの衝突回避機能だけである。

 Spot本体やアーム自体を衝撃などから守るための機能も搭載している。フォースリミッターと呼ぶ機能だ。例えば、アームが何かに衝突したときにボディーに大きな力がかかるのを防ぐため、アームのトルクが自動的に制限され、ボディーのバランスが崩れるのを防ぐ。また、物体を持ち上げて運ぶ場合、物体が重すぎるとアームが物体を持ち上げるのを止める。この機能はSpot自体の損傷を防ぐ目的であるため、外部の人や物体に対する安全機能としては使えない。

 なお、このフォースリミッターはコントローラーの設定で無効にできるが、無効にする場合は注意が必要である。アームが何かに接触すると、衝突物とSpot本体に大きな力がかかる可能性があり、それによって双方に損傷を与えてしまう可能性があるためだ。