米Apple(アップル)の人気イヤホン「AirPods Pro」を個人売買サイトで購入すると、届いたのはなんと偽物だった……。だまされて購入してしまったユーザーから、偽物を無償で譲り受けた日経クロステックは、本物と比較しながら分析した。その結果、スピーカーの性能まで巧妙にまねしていることが明らかになった。だが、偽物メーカーも「完コピ」は難しかったようだ。
日経クロステックは、個人売買サイトでだまされて偽物のAirPods Proを購入したユーザーから製品を無償で譲り受けた。そのユーザーは外箱の米Apple(アップル)のロゴがかすれていることなどを理由に偽物と判断したそうだ。しかし、外観は本物と見まがうほど酷似している。
本物を偽装したこのような違法製品は、主に中国で製造されて世界中にばら撒かれている。OECD(経済協力開発機構)の2019年の発表によると、世界全体の偽物の輸入額は年間5090億米ドルに上る。誠実なものづくりの敵ともいえる偽物は、粗悪な品質でブランドイメージの低下を招くなど非常に悪質だ。日経クロステックは、本物のAirPods Proを購入して偽物と徹底的に比較した。
全体的に安っぽい偽物
まずは見た目を調べた(図1)。外箱には本物と同じ白色の化粧箱を使っており、天面の製品写真も、アップルのロゴも、商品名も、デザインの細部に至るまで、両者は似ている。梱包(こんぽう)材や取扱説明書といった1つひとつの製品構成物も本物とそっくりである。
ただよく見比べると、色合いや素材が微妙に違っていた。本物は同じ白でもアイボリーに近いが、偽物は純粋なホワイト。さらに分厚くて高品質な素材を使っている本物に対して、偽物は画用紙のように薄くて安っぽい。側面の文字に少し細いフォントを使っていたり、印刷にかすれがあったりするなど、見比べると本物との差異が明らかになる。
すべての内容物が入った箱の重量を量ると、本物が240gで偽物が175gだった。これは偽物が箱に薄い素材を使っていたためである。個人売買サイトなどで、240gよりも大幅に軽いAirPods Proを買ってしまった場合は偽物と疑うべきだろう。