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ソニーグループは、現在、「人に役立つロボット」の開発に取り組んでいる。狙うのは、少子⾼齢化などによる労働⼒不⾜に向けて物理的なタスクを代替するロボットだ。その開発の総本山が、R&Dセンター Tokyo Laboratory 24である。同組織が開発中のロボットの詳細を取材した。

 ソニーグループ(ソニーG)の「人に役立つ」ロボット開発の総本山、R&Dセンター Tokyo Laboratory 24。同組織は“3本の矢"で開発に取り組む。多脚式の「移動ロボット」、医療向けの「精密バイラテラル制御システム」、初期滑りを用いた「マニピュレーター(ロボットハンド)」だ。

 同社の3種類のロボットは、独自開発のアクチュエーターやセンサーで課題を解決した。移動ロボットは、独自開発したアクチュエーターで可搬重量を増やした。精密バイラテラル制御システムは、光ファイバーを使った小型センサーでわずかな力を検出可能にした。マニピュレーターは、大量のセンサーで、物体を繊細につかめる機能を備えた。

 移動ロボット 
整地の効率移動に対応し
4脚から6脚へ

 ソニーGが研究開発を進めてきた移動ロボット「Tachyon(タキオン)」には、3世代のハードウエアが存在する。

 Tachyonのプロジェクトリーダーを努める同社R&DセンターTokyo Laboratory 24 2課 統括課長の川浪康範氏はTachyonの研究開発プロジェクトについて「将来的に、人の移動が困難な極限空間でも活動できる、移動技術の“最高峰"を目指している」と話す。今回、第2世代品の「Tachyon2」と第3世代品の「Tachyon3」の2台について、実際に動作を見ることができた(図1)。

図1 多脚ロボットで移動技術の“最高峰”を目指す
図1 多脚ロボットで移動技術の“最高峰”を目指す
ソニーGが研究開発に取り組む6脚ロボット「Tachyon3」(写真左)と4脚ロボット「Tachyon2」(写真右)。Tachyon2は2017年2月に研究がスタートし、Tachyon3は20年10月に研究が始まった。(写真:加藤 康)
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 まず、3台の主な仕様の違いを見ていく(表1)。「Tachyon1」は2015年10月に研究開発がスタートした4脚ロボットで、18年3月まで開発が続けられた。高速移動を実現するために、4脚での基本脚移動技術や姿勢安定化制御技術などの開発に取り組んだ。

表1 Tachyonシリーズ全3世代の主な仕様
(表:ソニーGのデータを基に日経クロステックが作成、写真:加藤 康)
表1 Tachyonシリーズ全3世代の主な仕様
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 Tachyon2は、その後継として17年2月から20年2月まで研究開発を続け、21年9月に国際学会「IROS 2021」で発表した4脚ロボである。Tachyon1の技術を継承しつつ、脚機構を新たに開発した。剛性が高いメカ構成で、高負荷や耐衝撃性に対応したのも特徴だ。

 そして最新となるTachyon3では、これまでの4脚から6脚へと脚の本数を増やした。Tachyon2までの技術を継承しつつ、新たな脚機構と6脚での移動技術を開発した。20年10月から研究開発がスタートし、21年12月の建設現場での実証実験開始とともに、外部に概要を発表した。