太陽光パネルや太陽電池セルに大きな技術的変化が幾つも起こっている。それらと太陽電池の主原料である多結晶シリコン(Si)の高騰を背景に、それぞれの選択肢で太陽電池セルやパネルメーカーが揺れており、2陣営に分かれてきた。こうした状況を知ることで今後の太陽電池セルや太陽光パネルの変化を見通すことができそうだ。
この2年ほどの間にシリコン(Si)系太陽光パネルや太陽電池セルに大きな技術的な変化が大きく5つ起こっている。(1)パネルがかつての液晶ディスプレーの基板のように大型化してきた、(2)セルもロジック回路向け半導体のSiウエハーと同様に大型化している、(3)単結晶Si型太陽電池が多結晶Si型太陽電池を事実上駆逐した、(4)大型化したセルを1/2~1/4に分割しての利用が進む、(5)Si基板がこれまでのp型半導体†からn型半導体に大きく切り替わりつつある、の5つだ。
パネル出力は10年で2倍超に
(1)のパネルの大型化はこの約10年前後のパネルを比較するだけで一目瞭然だ(図1)。その大型化をけん引するのが、中国Trina Solar(天合)や同Risen Energy(東方日昇)である。大型化は出力の増大に直結し、Trina Solarは2021年に定格出力670Wのパネル、Risen Energyは同700Wのパネルをそれぞれ量産出荷した。
2013年ごろはTrina Solarのパネルは同280~290Wだったことから、2倍超になった。両社以外でも、ほとんどのパネルメーカー大手が600W前後にパネルを大型化してきている。
パネルの出力の推移を見ると、2009年以降ずっと右肩上がりに大型化してきているが、特に2020年以降、急速にそのスピードが加速しているのが分かる(図2)。