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3次元(3D)映像を裸眼で立体視できる「立体ディスプレー」の製品化が各所で進んでいる。以前から開発例はあったものの、研究レベルにとどまっていた。映像技術の進化により表示コンテンツが拡充されてきたことが追い風となった。不発だった「3Dテレビ」に比べて手軽さや表示品質が向上した表示デバイスが、新たなニーズを生み出そうとしている。

 映像技術の進化において注目されているのが、平面から飛び出した「3D(3次元)映像」の活用だ。現実の映像を、あたかも3Dゲームのように扱えるようにする「ボリュメトリック映像」は、スポーツ観戦やエンターテインメントに革新をもたらそうとしている。

 しかし、いくら映像が3Dになったとしても、既存の平面のディスプレーで視聴する場合には、映像表現に限界がある。そこで、現在、3D映像を立体視できる表示デバイスの開発が各所で進んでいる。立体ディスプレーといえば、思い出されるのが2010年代に市販された従来の3Dテレビだ。専用メガネを使用して立体視を得る。ただし、この専用メガネをかける不便さに加え、3D映像制作のハードルの高さからコンテンツも限られ、飛び出す映像に対してユーザーニーズもなく、普及が進まなかった。

 3D映像の制作については、技術の進化により、ボリュメトリック映像が容易に生成できるようになりつつある。一方で、映像提示ついては、専用のメガネが不要で裸眼で見られるディスプレーの開発が進んでいる。現時点で見えている用途は、家庭で3D映像を楽しむのではなく、マーケティングやエンターテインメント、医療、車載などの分野での活用である。

 裸眼立体視ディスプレーは、見る人の視点(ユーザーの顔の位置)によって、角度や向きが異なる被写体の映像を切り替えて出力することで、立体的に見える仕組みである。この映像の切り替え方や、映像の表示方式などによって、裸眼立体視ディスプレーには複数の方式がある。

 現在の裸眼立体視ディスプレーは、大きく2つに分けられる。1つはディスプレーの前で立体視を得られるユーザーが1人であるもの。もう1つは、多人数のユーザーが1つのディスプレーの前で同時に立体視できるものだ。

 前者は、カメラやセンサーで顔の位置をトラッキングして、見ている視点の変化に合わせて出力映像を変化させていく。後者は、あらかじめ複数の視点の映像を同時に出力しておき、異なる角度から見ると光学的に異なる映像が見えるようになる方式である。これらの裸眼立体視ディスプレーにおいて、各社の最近の取り組みを見ていく。