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 時価総額で米NVIDIA(エヌビディア)の後じんを拝して久しい米Intel(インテル)。自前のx86アーキテクチャーに固執せずに、NVIDIAが優位に立つ製品に対抗する新たなプロセッサーを、2022年5月10日と11日にビジネス顧客に向けて開催したプライベートイベント「Intel Vision 2022」において、次々と発表した。中でも記者の目を引いたのは、AI(人工知能)/機械学習の学習フェーズ向けのプロセッサー(図1)、クラウド/データセンターのMPUから各種処理をオフロードするプロセッサー(IPU:Infrastructure Processing Unit)、データセンター向けGPUカードの3つである。

図1 基調講演で学習用プロセッサー「Habana Gaudi2」を掲げる米Intel(インテル)のSandra L. Rivera氏(executive vice president and general manager of the Datacenter and AI Group:写真右)
図1 基調講演で学習用プロセッサー「Habana Gaudi2」を掲げる米Intel(インテル)のSandra L. Rivera氏(executive vice president and general manager of the Datacenter and AI Group:写真右)
左は進行役を務めた同社のChristoph Schell氏(executive vice president and chief commercial officer of the Sales, Marketing and Communications Group)である(出所:Day 1の基調講演ビデオからキャプチャー)
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 Intelは、21年3月23日(現地時間)に製造戦略「IDM 2.0」を発表した際に*1)、自社の半導体プロセスにこだわらず、外部ファウンドリーのプロセスも積極的に活用していくことを明言した。今回のIntel Vision 2022では、プロセッサーアーキテクチャーへのこだわりも捨てる姿勢が鮮明になった。なお、現在でも同社の主力製品であるMPU(マイクロプロセッサー)は、PC/クライアント向けの「Core」もサーバー/データセンター向けの「Xeon SP(Scalable Processor)」も同社独自のx86アーキテクチャー(IntelはIntel Architecture(IA)と呼ぶ)を採る。ここ数年は競合の米AMD(Advanced Micro Devices)からの追い上げを受けていることもあり、x86アーキテクチャープロセッサーの開発には手を抜けない。実際、今回のIntel Vision 2022では、ノートPC向けの新製品「第12世代インテルCore HX プロセッサー」*2)を発売したことや、サーバー向けの新製品「第4世代 Xeon SP」(開発コード名:Sapphire Rapids)の出荷が始まったことが発表された(図2)。

*1)関連記事
「Intel本気のファウンドリーは成功する? AMDのMPUを造る未来も」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05569/
*2)関連記事
「Intelが最後の第12世代Core、ノートPC向けハイエンドのHX」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/12892/
図2 Rivera氏は基調講演で「第4世代 Xeon SP(Scalable Processor)」(開発コード名:Sapphire Rapids)のウエハーも紹介(写真右)
図2 Rivera氏は基調講演で「第4世代 Xeon SP(Scalable Processor)」(開発コード名:Sapphire Rapids)のウエハーも紹介(写真右)
同氏は、進行役のSchell氏(写真左)にこのウエハーを「My Baby」と冗談交じりに紹介しており、x86プロセッサーへの思い入れの強さを感じさせた。第4世代 Xeon SPは「Intel 7」プロセスで製造している(出所:Day 1の基調講演ビデオからキャプチャー)
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