ブリヂストンが、タイヤ事業の先にある可能性としてロボットハンドの開発に動き出している。タイヤで培ったノウハウを生かし、“ロボットの空白地帯”に切り込む考えだ。「柔らかく持つのに力が出る」(同社)という特徴を前面に出し、2024年度に向けた事業化を目指す。
2022年3月─。東京ビッグサイトで開催された「国際ロボット展」の一角に人だかりができていた。注目を集めていたのは、触手のような見た目をした柔らかいロボットハンドだ。ブリヂストンの「33年ぶり」(同社)となる同イベントへの出展だった。りんごやバナナを持ち上げるデモンストレーションに、「産業用ロボットメーカーの担当者が代わる代わる見物に来ていた」とブリヂストン 探索事業開発 第1部門長の音山哲一氏は振り返る。
同社のロボットハンドが高い関心を持たれたのには理由がある。形や大きさの異なる物体を“ちょうどいい”力でつかむロボットハンドの開発が難しいからだ(図1)。