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世界的な電気自動車シフト、自然エネルギーシフトによってパワーエレクトロニクスの重要性が増している。日経エレクトロニクスでは、この分野で研究・開発に取り組む大学や高等専門学校などの研究機関を応援する「NE主催 パワー・エレクトロニクス・アワード 2022」を実施している。このほど、同分野に変革をもたらす6つの表彰候補技術を専門家の協力の下、選出した。前号に続き、今回は残る3候補を紹介する。記事はライターの山下勝己氏が担当した。(本誌)

選出グループ

北海道大学・北裕幸氏の研究グループ
再エネ大量導入に必須の疑似慣性力 短時間/高精度の評価可能に

長岡技術科学大学・江偉華氏の研究グループ
加速器駆動も半導体で MARX回路にチョッパー制御を合体

名古屋工業大学・竹下隆晴氏の研究グループ
350kW出力で5分内のEV充電器 小型・高効率を実現

「パワー・エレクトロニクス・アワード」とは

 「NE主催 パワー・エレクトロニクス・アワード」は、本誌が日本の大学・高専などの理工系研究室を応援する「NEイノベーション・アワード」の一環。2016年にアナログ分野、2017~2021年にパワーエレクトロニクス(パワエレ)分野で実施した。パワエレ技術が産業界に革新をもたらすことを特に若い世代にアピールし、この分野へ携わる技術者を元気づけ、また増やすことを目的とする。

 表彰対象は、パワエレ技術(電力の変換や開閉などの制御技術)、パワエレ基盤技術(回路や制御アルゴリズム、設計、半導体などの要素技術)、パワエレ応用技術(モーターなどパワー出力装置、発電装置、送電機器、鉄道、自動車など)に関する2年以内の発表(基になる研究発表が2年以上前のものも含む)。審査基準は「革新性」と、産業界で普及が見込める「実用性」を備え、産業や社会に進化をもたらす「産業インパクト」を与えると期待できること。東京工業大学 名誉教授・同大学 未来産業技術研究所 特任教授の赤木泰文氏を長とする「技術選出員会」を2人の選出員(東北大学・国際集積エレクトロニクス研究開発センター教授の遠藤哲郎氏と、産業技術総合研究所 名誉リサーチャーの奥村元氏)で組織し、6候補を選出。鉄道総合技術研究所 フェローの正田英介氏を長とする「審査会」で最優秀賞と審査員特別賞を選ぶ。読者投票で読者賞も決める。贈賞式は2022年12月に開催する予定だ。