国内の大学や高等専門学校(高専)などの理工系研究室を対象にパワー・エレクトロニクス(パワエレ)分野の優れた研究を日経エレクトロニクス(NE)が応援する「NE主催 パワー・エレクトロニクス・アワード 2022」。その表彰を記念するイベント「パワー・エレクトロニクス・サミット 2022」が2022年12月16日に、東京都内のイベント会場およびオンラインで開催された(図1)。
パワエレ技術には確実に追い風が吹いている。しかも、その推進力は年々強まるばかりだ。背景にあるのは脱炭素(カーボンニュートラル)の達成や地球温暖化の防止などのキーワードに対するグローバルでの関心の高まりである。これらを実現させる手法はさまざまだが、極めて有力な方法がパワエレ技術の活用である。パワエレ技術を活用して、電気自動車(EV)などの環境対応車や、太陽光発電などの再生可能エネルギー機器、エネルギー効率が高い通信/ITインフラ機器などの応用製品を開発して広く普及させることが一助になる。
もちろん、こうした応用製品はすでに普及し始めているが、さらなる普及が必要だ。そのためには絶え間のない新技術開発で高効率化やコスト低減を図る必要がある。例えばEVであれば、1回充電当たりの航続距離を延ばしたり、充電時間を短くしたりすることなどが欠かせない。
今回のパワエレアワードでは、新しいパワエレ技術の萌芽となる6件の研究成果がノミネートされた。その中から、6人の審査員で構成された審査会で最優秀賞と審査員特別賞、読者賞の3件が選出された(図2)。ただし今回の審査会は非常に難航した。審査委員長を務めた鉄道総合技術研究所 フェローの正田英介氏は審査講評の中で、「6件の研究成果はとても拮抗した内容だった。選考に漏れた3件も大差ない。今後も引き続き研究に取り組み、より良い成果を出してほしい。それが審査員全員の希望だ」と語った。