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NECの戦略
予知保全やコンサルも

 先手を取ったのはNECだ。主に製造業の組立工場を対象とする「ロボット導入トータルサポートパッケージ」の提供を2019年2月に始めた(図2)。同サービスは(1)導入コンサルティングや自動化ライン設計、(2)ロボットやハンド、センサーなどの構成要素、(3)稼働状況管理システム─を一括提供する。

図2 ロボット自動化ラインのデモ
図2 ロボット自動化ラインのデモ
NECの「ロボット導入トータルサポートパッケージ」を適用した。写真右にある幅600mmの台車上にロボットシステムを構築する。(写真:加藤 康)
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 同パッケージの売りは、運用開始までのリードタイムの短さ。「新規導入プロジェクトの場合、通常なら事前検討から運用開始まで6カ月かかるが、我々は半分の3カ月で済む」(NECスマートインダストリー本部ものづくり企画・プロモーショングループ主任の高野智史氏)。自社工場におけるロボット活用のノウハウを投入することで、大幅な期間短縮を実現したという。

 ロボットの稼働データは、(3)の稼働状況管理システムを介してNECのIoT基盤「NEC Industrial IoT Platform」に集約。顧客が活用するだけではなく、NECも分析結果に基づいたサービスを提供する。例えば、異常の予兆を捉える予知保全サービスや、品質・生産性の改善策を提案するコンサルティングサービスなどだ。

人とロボットがシフト交代

 特筆すべき点は、人との協働や“シフト交代”を視野に入れていることだ。シフト交代とは、例えばある工程を昼のシフトでは人が、夜のシフトではロボットシステムが担当するような運用を指す。「作業者の確保が難しい夜間帯から自動化したいというニーズが多い」(NECスマートインダストリー本部ものづくり戦略グループ技術主幹の北野芳直氏)。

 そのため、同パッケージのロボットシステムは基本的に幅600mmの台車上に構築する。組立ラインでは、各工程が600mmぐらいの間隔で並んでいることが多い。台車であれば、特定の工程だけを入れ替えることで、人とロボットのシフト交代を手軽に実現できる。標準のロボットアームとしては、デンソーウェーブの協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」と、協働ロボット専業のデンマークのユニバーサルロボット(Universal Robots)の製品を中心に採用している。

自動化ありきではない

 ハードウエアだけではなく、サービスやソフトウエアでも差異化を図る。導入コンサルティングや自動化ライン設計などのサービスは、NECグループの工場でのロボット活用ノウハウに基づいて、同社の専門家が直接手掛ける。その特徴は、ロボットSIでありながら、必ずしも“自動化ありき”ではないことだ。

 「我々自身も心掛けていることだが、ロボットで自動化する前に工程そのものを改善する」(同社の北野氏)。工程を改善せずに自動化してしまうと、無駄や品質不良の原因なども残ったままとなる上、自動化してから改善するのは難しいからだ。そのため、事前検討段階でまず工程改善に取り組む。その結果として、ユーザー企業が当初考えていたほどは自動化しないという判断に至ることもあり得るという。「ロボットとは直接関係ない工程改善まで手掛けるコンサルティングサービスは、既存のロボットSI事業者にはなかなかないのではないか」(NECの高野氏)。工程改善に時間をかけるものの、ロボットシステムはアームに取り付ける各種標準ユニットの組み合わせで構築できる。そのため、事前検討以降の「企画構想」から「テスト」までの期間を大幅に短縮できるという。

 稼働状況管理システムのようなソフトウエアも売りの1つだ。同社のNEC Industrial IoT Platformと連携し、ロボットシステムのデータを収集・分析することで、稼働状況や品質を可視化したり、改善につなげたりすることが可能である(図3)。「ロボット活用の利点は、工程や製品の状況をデジタルデータで可視化しやすくなること。それによって、品質や生産性をもっと高められるようになる」(同社の北野氏)。裏を返せば、データ収集・分析を伴わない単なるロボット活用では、もはや効果は薄いということだ。

図3 稼働状況管理システムによる可視化の例
図3 稼働状況管理システムによる可視化の例
品質や生産性の改善に役立てられる。(写真:加藤 康)
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