2013年に国際機関で標準化された映像符号化方式(動画コーデック)である「H.265/HEVC」。標準化から約6年経過した今でも、従来規格「H.264/MPEG-4 AVC」の牙城を崩せない背景には、特許団体乱立による普及の伸び悩みが挙げられる。その隙に、世界の大手IT企業が作り上げた新規格「AV1」が、主役の座を奪おうと動き出した。
動画の放送や配信の中核技術である映像符号化方式(動画コーデック)。国際機関で標準化された“正統”な現行規格が、主役から引きずり降ろされる異例の展開になっている注1)。
米グーグル(Google)や米アップル(Apple)、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)などが推す“異端”の新規格が、「事実上の標準(デファクトスタンダード)」として主役に立つ。世界で急伸する動画配信サービスで、米国勢の台頭を勢いづかせる。
新規格とは、米国の非営利団体アライアンス・フォー・オープン・メディア(AOM)が2018年に公開した「AOMedia Video 1(AV1)」である(図1)。グーグルやアップルなど多くの大手IT企業が参画する。