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 大量のデータと人工知能(AI)など情報処理技術を駆使して新素材を開発する「マテリアルズインフォマティクス(MI)」と呼ぶ技術を耳にする機会が増えた。数ある技術分野の中で、新素材の開発は特に手間と時間、費用が掛かるとされてきた。効果的で効率的な開発には、研究者のセンスと経験が欠かせず、企業にも地道な試行錯誤と辛抱強い継続開発が求められる。こうした仕事の進め方に適性がある日本企業にとって、素材開発は得意分野でもあった。

 今回のテクノ大喜利では、MIの活用が成果を大きく左右する時代に突入しつつある素材産業で、ビジネスの競争力を維持・強化していくための方策について議論した(表1)。

表1 「ITを駆使した新素材創出、その勝ちパターンとは」をテーマにしたテクノ大喜利の回答
服部 毅氏 中田行彦氏 田口眞男氏
服部コンサルティング インターナショナル 立命館アジア太平洋大学 慶應義塾大学
回答総括 成果が見通せる素材開発で、ビジネスはシーズ指向からニーズ指向に移行 量子コンピューターとAI人材の獲得が素材開発の勝負の決め手に Googleがトップ素材開発会社になる日は近い、特許戦略の刷新を急げ
【質問1】MIを活用した新素材開発が進むと、電子産業や半導体産業にはどのような影響が及ぶと思われますか? 製品開発期間の短縮と開発費用の削減 全産業でイノベーションの速度が上がり、企業間の競争が激しくなると共に、顧客はその成果を享受しやすくなる 標的型材料開発の時代になるが、標的をいかに見つけるか、そしてどうビジネスに結び付けるかの問題が顕在化する
【質問2】MI時代には、どのような技術・特徴を備えた素材メーカーの競争力が高まると思われますか? 使いやすい膨大なデータベースやデータマイニング・解析システムの構築、そのためのデータサイエンティストなど情報科学分野の人材の確保 量子コンピューターとAI人材を獲得した国と企業が、素材産業のみならず全産業で世界制覇する 材料物理に強く、SoC(System on a Chip)から場合によっては独自コンピューターまで開発できるメーカー
【質問3】MI時代、日本の素材メーカーのビジネス環境は、どのように変化すると思われますか? シーズ指向からニーズ指向に変化 グローバル競争に巻き込まれ、厳しい生き残り戦争に勝ち抜く必要に迫られる 異分野からの参入も予想され、知的財産戦略が重要になるだろう