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 2020年半ば以降、世界的に脱炭素化を目指す動きがにわかに加速してきた。日本では20年10月、菅義偉首相が国会の所信表明演説の中で、50年までにCO2のネット排出量をゼロ(カーボンニュートラル)にする政策目標を表明。経済産業省は21年2月に、脱炭素社会の実現に向けて企業の研究開発を支援する2兆円の基金の運営方針案を公表した。日本は、脱炭素化に貢献できる技術やビジネスの題材を豊富に保有する。しかし、世界の脱炭素化の大波に乗る産業界の具体的な動きは現時点では明確には見えず、潜在能力を生かし切れていないようにもみえる。

 今回のテクノ大喜利では、世界規模の脱炭素化の大波に乗るため、日本の産業界が採るべき戦略・施策について議論した(表1)。

表1 「加速する脱炭素化の大波に乗れ」をテーマにしたテクノ大喜利の回答
三ツ谷翔太氏 大山 聡氏 古山通久氏 中田行彦氏 半導体産業OB氏 服部 毅氏 木通秀樹氏
  アーサー・ディ・リトル・ジャパン Grossberg X-Scientia 立命館アジア太平洋大学 元 某ハイテクメーカー 服部コンサルティングインターナショナル 日本総合研究所
回答総括 電力革新だけが脱炭素ではない、一日の長の水素キャリア製造で勝て 日本の国土特性が生きる地熱・バイオマス発電を今こそ推進すべき 日本の脱炭素投資2兆円は少なすぎ。せめて集中投資戦略を明確に EVシフトによる脱炭素化の鍵は「電池製造時の電力削減技術」 脱炭素型データセンターの推進で日本の半導体産業の勝機が拡大 脱炭素後進国ニッポン、イノベーションのジレンマから脱出せよ 争点は、デジタル化で加速する物質・構造の技術革新
【質問1】 脱炭素化に向けて、日本政府が真っ先に巨額投資すべき分野はどこだと思われますか? 電力・水素・炭素を統合的に捉えたアーキテクチャーの開発 地熱・バイオマス発電を含めた、再生可能エネルギーによる発電の推進 たかだか2兆円の投資であれば、伸びしろが大きい分野へ 日本が巨額投資すべきなのは洋上風力発電。過去の教訓に学べ 脱炭素型データセンター 石炭火力発電の廃止と代替エネルギー実用化 共通基盤となる新材料・新構造などの解析・設計・製造技術
【質問2】 脱炭素化に向けて、世界をリードするポジションを狙える日本発の強い技術・ビジネスは何だと思われますか? “日本の勝ちパターン”としての水素キャリア製造 バイオテクノロジーを活用した技術 課題解決先進国・日本 EVも製造時はCO2を排出。EV用蓄電池の開発が脱炭素の鍵 パワーデバイス、製造装置、不揮発メモリー、IOWN ない。「日本発」にとらわれずに脱炭素先進国を見習え 新材料製造とその基盤技術を核にしたモジュール化
【質問3】 日本の産業界の中で、脱炭素ビジネスの強化に向けて早急に戦略変更すべき業種または企業を挙げてください。 インフラ企業や製造業による“地域のオーケストレーター”化 電力業界・発電事業 低炭素ビジネスで順調な業界・企業こそ脱炭素の文脈では注意が必要 水素は、供給網短縮などライフサイクルでの脱炭素戦略に変更すべき パワーデバイス業界、後工程メーカー、メモリー業界 トヨタ自動車 デジタル化イノベーションの波に乗る企業は少ない