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 どんな大企業であっても、同じ仕事を続けて定年まで勤め上げることなど、もはや望めない時代になった。特に電子・機械産業では技術やビジネスの変化が激しく、専門性が高い技術を持つエンジニアほど転身に苦慮する傾向が高い。今回のテクノ大喜利では、電子産業の技術畑のシニア人材にフォーカスし、時代が求めるシニア人材の活用法について議論した。

融合知をシニア人材で補う

 今、電子産業で知見やスキルを磨いたシニアが他社・他分野・他業種に転身するとしたら、どのような場で活躍できるのだろうか。立命館アジア太平洋大学の中田行彦氏は、電子機器や家電製品のビジネスに新規参入する企業を転身先として挙げた。「アイリスオーヤマは、2009年に家電に参入し、後発ながら家電部門の売り上げを急速に伸ばしている。その成長の立役者が、大手メーカーを退職したシニア人材だ」。

 アーサー・ディ・リトル・ジャパンの三ツ谷翔太氏は、スタートアップ企業を候補に挙げた。「近年、ロボティクスや3Dプリンターなど、ものづくり系のスタートアップが増えている。ここでは、ものづくりに関する知見を持つシニア人材が貢献できる可能性がある」。Grossbergの大山 聡氏は、「農業の生産性や品質の向上、地方自治体のサービスの活性化など、地域密着型のローカル型産業に多くのチャンスが生まれている」としている。

 元 某ハイテクメーカーの半導体産業OB氏は「アイデアの事業化、壁に当たった時の解の探求に向けた知識と知恵を、シニア人材は多く持つ。スタートアップを生み出し続けるシリコンバレーの強みである『融合知』は、こうしたシニア人材が持つ知識と知恵で補える」と指摘している。半導体の分野では過去に、腕に覚えのある日本のシニアエンジニアが、新興国の企業に乞われて海を渡る転身がよくみられた。しかし、服部コンサルティング インターナショナルの服部 毅氏は、「ここに来て日本政府は、積極的に外資半導体企業を誘致している。これが実現すれば、外国並みに年齢不問で人材を募集する可能性がある」としている。エンワールド・ジャパンの星野ファビアン氏は「高齢化が進む日本では、シニア人材の生活者視点が、新しい商品やサービス開発のアイデアとして役に立つ時代になった。何を作るかをシニアが考え、どう作るかを若手が考える商品作りが始まりそうだ」としている。