電池技術のベンチャー企業である米24Mテクノロジーズ(24M Technologies)は、京セラが量産計画中の新型Li(リチウム)イオン電池を今後も継続的に進化させる新技術について明らかにした。低コストと高い安全性が期待できる24Mの「クレイ型(半固体型)」電池技術をベースとし、新構造の電極にSi(シリコン)負極を適用する。(日経エレクトロニクス)
既存のLi(リチウム)イオン電池に対して、大幅なコスト低減と信頼性向上が期待できる「クレイ型(半固体型)」2次電池。Si(シリコン)負極を適用してエネルギー密度を高める技術を開発した(図1)。
クレイ型の原材料費は既存品と比べて4割ほど安く、製造工程は1/3に簡素化できる(図2)。それでいて原理的に事故の恐れが少ない。構造と製造プロセスを既存技術から大幅に見直している。今回、クレイ型と組み合わせて、材料選択の幅を広げる新構造の電極技術を新たに開発してSi負極を適用する。
原料コストを低減、容量はアップ
クレイ型の構造の特徴は2つある。まずバインダーフリーの厚い電極を備えること。充放電を担う電極層を“クレイ(粘土)”状の原料によって既存の数倍にも厚く形成し、充放電に寄与しない添加剤のバインダーを含まない。これにより、原材料コストの低減と容量密度の向上につながる。
次に単電池構造であること。正負の電極とその間に挟む部材のセパレーターの1セットを樹脂フィルムで封止(シングルパウチ)し、これらを複数セットまとめて組電池としている。樹脂フィルムで封止しない既存品よりも製造工程と出荷後に生じ得る短絡の危険性が大幅に低減する。