新年早々の新聞各紙や各社のホームページには、経営トップの年頭所感や挨拶が掲載されています。そこで登場するキーワードとしては、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が多かったように見受けられました。そのDXの実現に欠かせない技術の1つが5G(第5世代移動通信システム)です。2019年は、2020年の本格商用化へのマイルストーンがいくつも予定されています。
まず2月末に、モバイル関連で世界最大級のイベント「Mobile World Congress」が今回から「MWC Barcelona」と名称を一新して開催されます。ここでは「5Gスマートフォン」の展示が期待されています。既に米国ではVerizonとAT&Tの2大通信事業者が5Gサービスを始めていますが、端末は家庭向けルーターやモバイルルーターしか用意されておらず、限定された使い方しかできません。MWC Barcelonaでは、5Gスマホの技術的な課題の1つとされる28GHz帯やミリ波帯の減衰をどうやって解決しているかが見所になりそうです。
続く3月末までには日本で5Gを使える周波数が決まります。周波数の決定は、通信事業者にとって最も重要な経営課題であるインフラ投資計画を左右します。利用申請を提出した通信4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルネットワーク)に対し、総務省は5G向けの新たな周波数帯をどう割り当てるか。采配に注目です。
そして夏から秋にかけては、既存の通信3社が5Gの限定的なサービス(プレサービス)を開始します。NTTドコモは、9月開催の「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」に合わせてプレサービスを始めます。KDDIは、高精細映像配信やスタジアムソリューション、ドローン警備などの用途で5Gを導入する計画です。ソフトバンクは夏以降に、スタジアムの臨場感を360度のVR(仮想現実)で視聴体験できるイベントを5Gのプレサービスとして予定しています。
5G元年となる2019年も日経エレクトロニクスをどうぞよろしくお願い申し上げます。