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 初めまして。2020年1月に本誌編集長に就任した中道と申します。異動前は、日経BPの総合研究所部門で、米Tesla(テスラ)の電気自動車(EV)、「モデル3」「モデルS」の分解・分析して、レポートを作成する仕事をしていました。

 モデル3ですが、技術的に面白い。既存の自動車にはない工夫や仕組みが満載です。特に感銘を受けたのが、徹底した中央集権アーキテクチャーです。

 この構造は2つのレイヤーであります。1つはボディーコントローラー。普通の車両では、パワーステアリング用のECU(電子制御ユニット)、ドア用のECUといった具合に、機能ごとにECUを用意していますが、モデル3は、これをボディーコントローラーと呼ぶ3つの基板に統合しています。しかも、12V系の電力も、ここから同時に供給します。

 もう1つは、車載コンピューターです。自動運転用とユーザーインタフェース用の2枚の基板で構成されるものです。特に自動運転用基板には、カメラやGNSS(GPS)、ミリ波レーダーなどが接続されており、ここですべてを判断し、車両を制御します。例えば、日産のリーフでは、カメラ映像から物体を認識するECU、ミリ波レーダー用のECU、これらを統合して判断する制御用ECUなど複数のECUが連携して運転支援を実現しています。

 このような構造にした理由として、コスト削減と、ソフトウエアアップデートによる制御の変更の容易さがあるのではないかと考えています。さらに、ボディーコントローラーと車載コンピューターにアクチュエーターやセンサーを付け加えれば、走行系以外のすべての機器を制御できることから、米Intelや米Qualcommのような、コアシステムを丸ごと外販するプラットフォームビジネスを見据えているのではないかともにらんでいます。ちなみに、走行系もモジュール化が進んでおり、外販可能な状況にあります。

 すり合わせで作られた携帯電話機が、統一プラットフォームで作られたスマートフォンに移行した歴史をテスラのアーキテクチャーに感じます。