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 Emerging Tech「成層圏を連続無着陸飛行、『空飛ぶ基地局』が実現へ」で、地上20km程度の超高高度を飛ぶ飛行体「HAPS」(High Altitude Platform StationあるいはHigh Altitude Pseudo Satellite)を取り上げました。現在考えられている主な用途は、超高高度で1年ほど滞空し、地上や空中、海上に通信サービスを提供するというもの。NTTドコモやソフトバンクなどの通信事業者が活用に乗り気です。

 実用化に向けては規制など、様々な壁があるようですが、技術的なチャレンジとしては、適度に難しく取り組みがいのあるテーマといえます。

 まず、搭載する機器を、とにかく小型軽量・高性能にしなければなりません。HAPSの可搬重量に制限があるためです。対象としては、太陽光パネル、2次電池、推進用のモーターやインバーター、通信装置などがあります。また、搭載機器のみならず、機体自体の軽量化も重要です。

 機器には高信頼性も求められます。1年に1回ほどしか地上に戻ってこない前提なので、その間、なるべく壊れないようにすべきですし、一部が壊れたとしても、継続して動く仕組みが必要です。1機で全機能を継続するのではなく、地上のバックアップ体制や複数の機体で、故障した機体を肩代わりする仕組みも研究対象となります。

 超高高度は過酷な場所です。ちょうどオゾン層に位置するため、太陽からの紫外線や宇宙線の影響を地上よりも大きく受けます。これらが太陽光パネルや機体の部材を劣化させたり、電子機器にエラーを生じさせたりします。

 このように見てみると、素材や信頼性、高効率化、小型化など、HAPSは日本産業の得意芸が生きる場所です。しかも、HAPSの実現コストは、人工衛星を作り、打ち上げるよりも格段に安価です。超高高度と地上との往還が可能なので、人工衛星では不可能な機器を取り替えての実験もできます。技術進化を加速するのにオールジャパンで取り組むのはいかがでしょうか。