新型コロナ感染症が拡大し、在宅勤務が常態化している今、同僚と同じ場所で仕事をすることの有用性を痛感しています。
職種にもよると思いますが、少なくとも私が携わる記者や編集という仕事では、同僚と交わす何気ない雑談や、周辺で話されている雑談の中に、次の仕事のためのヒントが隠されていることがよくあります。
読者の皆さんも同様の状況かと思いますが、日経エレクトロニクス/日経クロステック編集部員間のコミュニケーションは、ビデオ会議や電話、メール、チャットで行われています。こうした手段では、明確な目的を持ったコミュニケーションはできるのですが、気軽に雑談をしたり、ほかの人の雑談を何気なく聞いたりすることは、かなり困難です。
でも、本号の特集で取り上げた物理的な体を持つアバターロボットなら、近い環境を作れる可能性があります。例えば、同僚の近くにいるアバターロボットに遠隔から入り込んで、その相手がどんな状態か様子を見て、声をかけることができます。声をかけられる側も気配を察して、振り向いたりします。あるいは、アバターロボットが身の回りに複数台あり、それぞれの部員がそこに入って雑談をしていれば、自ずとその雑談が耳にはいってくることになります。
もう少し思考を深めると、この環境を生み出すのにロボットは必須ではないようにも思えます。相手の様子が見えた形でコミュニケーションができること、周囲の人のコミュニケーションの様子や声が聞こえることを実現したいなら、現実世界を投射する仮想空間でよさそうです。新型コロナ問題を契機に新しいコミュニケーションサービスが生まれることを望みます。