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 特集で取り上げたUWB(Ultra-Wide Band)ですが、「懐かしい!」と思った方も多いのではないかと思います。私も、そうでした。2000年代初め、超高速無線通信の座を巡って、広帯域を使ったスペクトル拡散やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、IR(Impulse Radio)といった無線方式が覇を競い、我々もその様子を盛んに報道しました。高速通信という面では、その後、メーカー間の主導権争いや、規制などの要因によってOFDMが主流となり、IR方式は、表舞台から去ったように見えていました。

 ところが、ここにきてIR方式のUWBが復活してきました。詳細は、特集記事をご覧いただければと思いますが、通信と高精度な測距が同時にできるという利点に注目が集まった結果です。通信速度はそれほど求められておらず、忘れ物タグやビーコン、決済など、アドレスと認証データのような小容量のデータを送受信できれば済むような用途に使おうとしています。近年のIoT化の流れが、こうした用途に光を当てた結果と言えそうです。

 現時点で、UWB搭載機器が津々浦々に広がるとは断言できませんが、「スマートフォン側にUWB無線機が入る」→「身の回りの機器にUWB無線機が入る」という正のスパイラルが回る可能性は高いとみています。UWBチップが安くなり、壁やコンビニ、あるいは移動通信の基地局にIR方式のUWB無線装置が置かれていけば、スマホがクラウドと連携して詳細な位置情報を得られるようになります。3点の厳密な位置情報が分かっていれば、3次元的な自位置が割り出せるからです。この環境ができることで、身の回りにあるものにメタデータとして位置を持たせることができるようになります。

 ある点の位置情報を厳密に知れるという機能は、B to C用途のみならず、建設や医療など、B to Bの現場で重宝されそうな気がしています。一例を挙げると、橋桁など巨大構造物の部材端の位置と部材の長さを測るといったことが簡単にできます。スマホが巨大なメジャー(巻き尺)になるわけです。