全893文字
PR

 何かと話題を振りまくTeslaのElon Musk氏がまた、大きな発表をしました。本号のEmerging Tech「Teslaが電池単価6割減の衝撃 現行比20倍の規模で内製へ」で取り上げた「Battery Day」でのものです。詳細は、記事に譲りますが、航続距離54%増、価格単価56%減を達成できるLiイオン2次電池の生産技術を完成させ、自らが電池メーカーになるというものです。しかも、Liを確保するために自らで鉱山も開発します。2030年の生産規模は3TWh/年にもなるそうです。

 この発表を見ながら、改めて感じたのは、Musk氏の意思の強さです。やると決めたら、その目標に向かって手段を選びません。今回の動機は、「2万ドル台でガソリン車並の航続距離を持つ電気自動車(EV)を発売したい」というものでしょう。そのためには、電池の単価を大きく下げなければならない。ところが、電池の製造パートナーであるパナソニックや韓国LG Chemなどは、大幅な値下げに消極的で、巨額の投資を伴うような大量生産計画には及び腰だっただろうと想像できます。だったら自分たちでそれを実現するしかない。ということで、自社で電池を作る決断をしたのでしょう。

 一部報道や専門家の間では、Teslaの今回の計画に対して疑問の声が上がっています。しかし、多少の遅れはあったとしても、やり遂げると見ています。そう考えるのは、Musk氏はこれまで有言実行を貫いているからです。無謀と言われたスペースXによる民間ロケット打ち上げも実現しましたし、「テスラ モデル3」もてこずりましたが、最終的には約束していた年間50万台の生産を達成しています。今回の取り組みは既存の技術の延長にあるため、これまでより実現へのハードルは低いように見えます。

 自動車メーカーが電池メーカーになる、今回のTeslaのこの動きは、電池メーカーにとって死活問題ですが、自動車メーカーにとっても大きな脅威でしょう。自動車メーカーが垂直統合に向かうのか、電池メーカーが巨大化するのか。いずれにせよ電池を巡り、今後に大きな動きがありそうです。(中道)