新年が明けて最初の日経エレクトロニクス(NE)をお届けします。今年もご愛読のほど、よろしくお願いいたします。NE50周年記念特集第2弾となる今回のテーマには、「白物家電」を選びました。特集チームが、あれもこれもと取材や寄稿依頼を進めた結果、なんと総ページ数76という超大型記事になりました。
特集のテーマに白物家電を選んだのは、この分野での市場の変容をここ数年、強く感じていたためです。休みの日、仕事の視察も兼ねて家電量販店によく行くのですが、売り場を見て日本の大手メーカーの衰退を感じます。大手メーカーの製品は大きなスペースで展示されてはいるのですが、消費者として目を引くのは海外メーカーや新興メーカーの製品です。まずデザイン面。屋内インテリアとの調和などを考えると、海外メーカーが魅力的です。また、機能面は総合的に日本の大手メーカーの製品が優れているように見えますが、一点突破の機能では海外メーカーや新興メーカーの製品が光ります。
最近では、家電量販店自らがプライベートブランドの白物家電を売っていたり、家具量販店や生活用品メーカーが白物家電を開発するようになってきていたりします。多機能・高機能を求めず、シンプルなデザインがよいという消費者にとっては、これで十分というレベルの製品です。
では、今後、白物家電業界はどうなり、誰が勝者となるのか。結論は、「業界全体が人の心を豊かにするようなサービスを提供するようになり、そのニーズを上手くつかめたところが勝つ」ということでしょう。そのために、家電を含めた家がクラウドと結ばれ、利用者を観察しながら、サービスを提供する方向に進化をしていくことになります。このとき、メーカーというくくりは消滅するでしょう。
ただ、現時点では勝者の姿は、見せません。もしかしたら、未来に訪れるのは、総取りの勝者はおらず、小さい勝者があちこちにいるような世界かもしれません。生活における人の嗜好は多様であるためです。