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 本号の特集でNTTが推進する「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」構想を取り上げました。光電融合技術を駆使して劇的に省電力化、高速化し、通信も含めた情報処理基盤を作り替える取り組みです。

 光インターコネクトを使って、省電力化したり、システムを高速化したりする技術については、ずいぶん前から、必要性が叫ばれ技術提案がされるものの、普及することなく消えていくということが繰り返されてきました。半導体の微細化と高速化、それに伴う電気伝送の高速化技術によって、電気だけで電力削減と性能向上を両立できたからです。

 IOWNでは、遅延や帯域など現在のIP通信の限界を打ち破るということもうたっていますが、IPもまた、アドレスの枯渇、信頼性、トラフィックの爆発、伝送遅延など、過去に何度も限界が唱えられたものの、新技術で克服してきました。

 ムーアの法則に頼った性能向上の限界、リアルワールドのバーチャル世界への転写によってトラフィックが爆発する中、今度こそ、光が表舞台に飛び出すに違いない。NTTのIOWN構想は、そう時代を読んだ同社社長の澤田純氏の大博打です。

 本当にNTTのこの壮大な取り組みが成功するのかどうか、現時点では判断できません。IOWN構想の結実には、これまでとは異なる半導体デバイスや、基板実装技術、基盤ソフトウエアの開発が求められます。本格化する2030年まで、息切れせずに走り切れるのか心配ですし、たとえ、実現できたとしても既存の延長線上の技術で思った以上に延命ができてしまい、IOWN用の技術はコスト高で、採用されなかったということもあり得ます。

 ただわかっているのは、土台を変えない限り、今の枠組みは変わらないということです。いつまでたっても、米国のIT大手や半導体メーカーが形成したルールの中で戦うしかありません。

 資本力、技術力、購買力のあるNTTが、今後、新しいルールを作り、基盤を作るというのですから、注目しておくべきでしょう。(中道)