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 日本ではあまり見かけることはありませんが、米国、特にシリコンバレー周辺では、実験用の自動運転車が普通に公道を走っているそうです。驚くべきはその実力です。特集 第2部で詳報した米カリフォルニア州車両管理局(DMV)の公道試験の2020年度結果報告書によれば、米Googleの兄弟企業Waymoと、米General Motors傘下のCruiseは、試験同乗者の介入なしに平均で4万5000km以上走ったそうです。ちょうどロサンゼルスとニューヨークの最短の道のりが4500km程度ですから、5往復です。

 もちろん、WaymoやCruiseの実験車両が走った道路が、自動運転車にとって走りやすい道路ばかりだったという可能性もありますが、その可能性は低いでしょう。そんな道ばかり走らせていたのでは、何のために公道実験をしているのかわかりません。シミュレーションでは、再現できないような状況で実験したいはずです。実際、Cruiseはサンフランシスコで重点的に実験をしているそうです。

 では、WaymoやCruiseの自動運転車両は、どんなときに人の介入が必要だったのか。詳細は不明なのですが、どうやら人が運転していてもヒヤリとするような場面だったようです。具体的には、周囲で走っているクルマが急に車線変更してきたり、自転車や人が急に飛び出してきたりといった状況です。

 総合すれば、現在の自動運転車の実力は、人以上になったと言えそうです。普通の状況ではミスなく走り、人がヒヤリとするような場所ではちゃんとヒヤリとしてくれるわけですから。自動運転車は寝不足の日はないですし、運転しながらよそ見や考え事をしてしまうこともないので安全そうです。

 解決すべきは量産性を含めたコストとビジネスモデルとなりますが、解決は時間の問題でしょう。最後の壁は、社会受容性の確保ですが、こちらも杞憂(きゆう)かもしれません。社会が拒絶する原因となる事故ですが、自動運転車には事故を起こしたときの記録がすべて残るので、逆に自動運転車の方が安全なことが明らかになる可能性があります。(中道)