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 現在、燃料電池車であるトヨタ自動車の新型MIRAIの分解・分析に取り組んでいます。2021年9月号が皆さまのお手元に届くころ、某所でMIRAIがバラバラになっているはずです。

 分解に先立つ7月下旬、この新型MIRAIの新機能である、高度運転支援システム(ADAS)「Advanced Drive」などを評価するために、長距離ドライブをする機会を得ました。車両の評価については、日経クロステックでお伝えする予定ですが、この長距離ドライブで気になった点をお伝えしようと思います。

 それはズバリ、水素ステーションの使い勝手の悪さです。まず、圧倒的に数が少ない。東京都内や、トヨタのお膝元である愛知県には、数十カ所あるのですが、それ以外の道府県には、あっても数カ所、全くステーションがない県もあります。今回は、東京と新潟県三条市を往復したのですが、高速道路のサービスエリアに水素ステーションはなく、結局、給ガスのために新潟県内唯一の新潟市内のステーションまで行く必要がありました。

 さらに、営業時間にも問題があります。開いているのは日中のみ。しかも、営業会社が同一の場合、同じ曜日が休みだったりします。新潟市のステーションと帰路の途中にある、群馬県高崎市のステーションは同系列店で、休みが木曜日でした。ちょうど木曜日に移動したため、ガス欠になったらどうしようとドキドキしながらの運転となりました。

 旧型のMIRAIを保有しているユーザーに聞くと、ステーションには担当者が1人しかおらず、病欠や休暇などで臨時休業の場合もあるそうで、長距離ドライブの場合は、事前に営業中か電話で確認を取っておくのが必須とのことでした。営業時間外で給ガスができず、水素残量も少なかったので、その場に車両を置いて帰ったユーザーもいたという話も聞きました。

 水素ステーション設置には、数億円がかかる一方で、給ガスに来るユーザーは「1日数台」(あるステーションのスタッフ)だそうです。これでは採算は合いません。乗用車としての燃料電池車の普及は遠い道のりだと実感したドライブでした。(中道)