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 2022年のCESでは、ソニーグループや、韓国LG Electronics(LG電子)など、電機産業からのクルマ作りへの進出の度合いが深まったことが印象的でした。自動車業界の方には「そんな単純じゃない」と怒られそうですが、極端な話、電池と、モーター、インバーター、車載充電器があれば、電気自動車(EV)は作れます。むしろこちらは電機メーカーが得意とする領分で、今後、参入が相次ぎ、さらに水平分業が進んで行くでしょう。最近、中国のEVサプライチェーンに関するレポートを編集する機会があったのですが、既にあちらでは水平分業が現実のものとなりつつあります。

 では、その先に何があるのか。クルマをハードル低く作れるようになると、車体部分の価値は減っていきます。加えて自動運転が当たり前になれば、ソニーグループがEVへの参入理由に挙げるように、車内空間こそが重要になるでしょう。車内空間におけるAV機器はもちろん重要ですが、インテリアも重要です。そう考えると、ニトリや無印良品などの家庭用雑貨や、家具メーカーなどが、クルマ作りに参入してくる世界も見えてきます。クルマ自体が部屋になれば、住設メーカーの出番もありそうです。

 これに対抗する自動車メーカー側は、クルマ本体だけでなくサービスで稼ぐことに前向きです。特に興味深いのが、米Teslaです。運転の安全さのスコアによって保険料を変える保険サービスを開始しているほか、昼間の就業時間など、所有者が使っていない間に、自動運転でタクシーサービスをするロボタクシー構想も持っています。これらのシステムが完成した暁には、運転をスコアリングするシステムや自動運転システムを外販するでしょう。つまり、車両を売らなくても、保険やロボタクシーのサービスはTeslaが運営するので、ここで売り上げをたてられる可能性があります。もちろん、この動きには、他の自動車メーカーも注目しており、成功の芽が見えれば一気に追随するでしょう。

 5年後には自動車産業の形ががらりと変わっている。そんな予感をひしひしと感じます。