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幸せな人間拡張時代に必要な「引き算」

 特集「超進化型人間、誕生」の取材で印象に残ったことの1つが、複数の研究者が指摘した「引き算」の重要性です。例えば東京大学の稲見昌彦教授は、ここ数年の研究で「情報を足し算する技術だけではなく、引き算が大切だと分かった」と発言しています。その裏にあるのは、単に拡張だけを追求し、できることや情報量を増やしてもそれは人間の幸せにつながらないことです。確かに犬の嗅覚が欲しいかと問われれば、私の答えはノーです。人間拡張がディストピアをもたらさないためにも、今後は多機能、高効率とは真逆の視点での研究も重要になる気がしています。(内田)

スキルを買う時代も近い?

 老若男女を問わず、新たなスキルを身に付けるために習い事に通う人がいます。しかし、どうしてもコツをつかむために時間を要し、その間に挫折してしまう人も少なくありません。この度、特集で記述した通り、人間拡張技術を介して、より短期間で高いスキルが習得できる可能性が出てきました。近い将来、「技能」のダウンロードも当たり前になるのかもしれません。ただ取材中、「技能を理解するために人間側も知識が必要」という話題が出ており、結局、努力が必要な可能性もありそう。もっと楽にスキルを習得できる時代が来てほしいです。(野々村)

人間が人間たる最終防衛ラインは“選べる”こと

 人間拡張特集で、必ずと言っていいほど話題になるのが、倫理観やディストピア、そして「人間とは?」という問いです。サイボーグ化が進めば身体のあらゆる箇所が機械化するかもしれません。AIの進化も著しい。ではこれらの技術を用いた際、どこまでが人間と認められるのか。印象に残っているのは、為末大氏の「自分自身の身体を自分で扱えるうちは、機械を埋め込んでいたとしても“生身”である」という考え方です。テクノロジーでどんなに超進化したとしても、主体性を持って選択や判断ができるかどうかが、人間である証しなのかもしれません。(東)