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先の見えないリストラを続けてきたルネサス エレクトロニクスが業績面で復活してきた。周回遅れと言われた米国半導体企業の買収が奏功した格好だ。グローバル企業となった同社は、何を目指し、どこに向かうのか。2013年からリストラや買収に辣腕を振るい、2019年7月に代表取締役 兼 CEOに就任した柴田英利氏に聞いた。(聞き手=中道 理、小島郁太郎)

(写真:加藤 康)
(写真:加藤 康)
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ルネサス エレクトロニクスの使命は何でしょうか?

 誤解を恐れずに言うなら、“シリアス”な人の人生を楽にする会社です。例えば、クルマや工場の機械、通信インフラなど、社会にとって絶対に欠くことのできないもの、壊れてはいけないものがあります。シリアスとは、そういう意味です。ミッションクリティカルと言えば分かりやすいでしょうか。いつも間違いなく動いてくれないと困るもの。それらに貢献することがルネサスのミッションであり、得意なことです。

 どんどん新しいものを世に送り出して「10個出したうちの2個は失敗でも8個が成功だからいいんだ」というのではなく、とにかく堅く、絶対に失敗しない。エッジ(コンピューティング)もそうだし、データセンターなどもそうですね。

 顧客はB to Bが中心ですが、私はエンドユーザーを思い浮かべています。クルマで移動する人、ヘルスケアの機械を使って治療を受ける人、工場の機械を使ってモノを作る人、そうしたミッションクリティカルな部分に携わる人々の毎日を楽にしたいと思っているんです。彼らが使う、壊れない、使いやすい、インテリジェンスが入った製品。それ(を半導体によって実現すること)が使命だと思っています。

今後、手を広げていきたい領域はありますか?

 今、我々が注力している領域は、まだまだ伸びる市場です。自動車、(データセンター、通信などの)インフラ、FAシステム、ヘルスケアと、成長市場を選んだつもりなので、当面、取り組むエンドマーケットを変える必要は感じません。ターゲットとしている市場に丹念に向き合っていきます。

 ただ、市場は常に変わるものです。コロナ禍の影響によって、その変化のタイミングが前倒しになっている。いずれ起きるだろうと想像していた変化が既に起きています。例えば、人が(在宅ワークなどで)移動しなくなる、モノに手を触れたくなくなるなど、世の中が変わって、それに伴って、音声を使った機械とのコミュニケーション、あらゆることのリモート化、人力監視からセンサーへの置き換えといったニーズが高まっています。ターゲットとするエンドマーケットは同じでも、その中のアプリケーションはどんどん変わるので、当社としてはよりニーズの大きいところにフォーカスしながら技術を提供していきます。