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スクウェア・エニックス(スクエニ)とオムロンという異色のコンビが、2020年初頭に米国で開催された展示会「CES 2020」で来場者の心をわしづかみにした。オムロンの卓球ロボットに、スクエニのゲームAIを搭載し、相手の感情を推測して返球できるようにした。スクエニの三宅陽一郎氏にゲームAIで社会がどう変化するかなどを聞いた。(聞き手=野々村洸)

三宅 陽一郎氏
三宅 陽一郎氏
2011年より現職。1999年に京都大学で数学を専攻し卒業、2001年に大阪大学で物理学修士課程を修了。2004年、東京大学工学系研究科博士課程を単位取得満期退学。2004年よりデジタルゲームにおけるAIの開発・研究に従事。立教大学特任教授、九州大学客員教授、東京大学客員研究員、国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会(チェア)。(写真:日経クロステック)

 ゲーム向けのAI(ゲームAI)はゲームシステムをコントロールするAI全体を指します。この技術は1995年ごろから、ロボティクスの世界で発達していたAIを参考に急速に発展してきました。その理由として、仮想世界のゲームは環境データの収集が現実世界より容易で、不要なノイズが入らなかったことが挙げられます。

 基本的にゲームAIは、3つのAIが連携して成り立っています。仲間・村人・モンスターなどのキャラクターの頭脳である「キャラクターAI」、地形を解析してキャラクターの空間認識などを支援する「ナビゲーションAI」、プレーヤーの心理や場面の状況を推測してゲームの流れに介入する「メタAI」です。

 オムロンの卓球ロボットに搭載したのは、メタAIです。このAIは単純に言うと、ゲーム世界の“神様”のようなものです。例えば、ゲームプレーヤーが操作するキャラクターが想定以上に激しく行動していたら、モンスターの出現頻度を下げるような調整を担います。