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日本で急増する見通しの洋上風力発電事業を開拓した企業の1社がレノバだ。その会長は通信業界の改革者だった。再生可能エネルギー事業への転身の狙いと将来展望を聞いた。(聞き手は野澤哲生)

千本 倖生氏
千本 倖生氏
1966年、京都大学工学部電子工学科卒業。日本電信電話公社(現NTT)に入社後、1984年に第二電電(DDI、後のKDDI)を京セラの稲盛和夫氏らと共同創業。社内ベンチャーとしてDDIセルラー(後のau)、DDIポケット(後のウィルコム、ワイモバイル、Y!mobile)を立ち上げる。1995年9月の東証一部上場後、1996年4月に慶應義塾大学教授。1997年7月、風力発電のエコ・パワー(現コスモエコパワー)取締役会長就任。1999年にイー・アクセスを創業。2005年にイー・モバイルを設立(2013年にソフトバンクに売却)。2014年4月にはレノバ社外取締役に就任し、2015年8月に代表取締役会長。2020年4月より現職。(写真:加藤 康)
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 日本電信電話公社、1984年の第二電電(DDI)創業、イー・アクセス、イー・モバイルと通信には50年携わりました。ただ、私の大学時代の専攻はエネルギーだったのです。それもあって日本や世界のエネルギーがどうあるべきかについてはずっと問題意識を持ってきました。

 そこに2011年3月の東日本大震災が起こり、日本のエネルギー政策の課題が明らかになりました。しかも異常気象によって災害が毎年のように起こるようになり、地球が泣き叫んでいるのを目の当たりにして「これは二酸化炭素(CO2)を減らさないといけない」と痛感しました。

 2013年にイー・モバイルを売却後、共通の知人を介してレノバ(代表取締役社長の)木南(陽介氏)と会う機会がありました。当時レノバはまだスタートアップでリサイクル事業が中心でしたが、ちょうど再生可能エネルギー事業に重心を移そうとしていました。それで私も「これからは通信からエネルギーの時代だ」と考えるようになったのです。