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慶応義塾大学准教授の牛場潤一氏は脳波測定機器とロボットを組み合わせたリハビリテーション技術を研究開発する。脳卒中などで身体を動かすことが困難になった人々に対して脳波測定機器とロボットを装着。脳波の測定結果を基にロボットを動かし、身体の動きを補助することで、身体機能の回復の促進を目指している。(聞き手=野々村洸)

牛場 潤一(うしば・じゅんいち)
牛場 潤一(うしば・じゅんいち)
2001年慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。2004年に博士(工学)取得。同年慶応義塾大学理工学部生命情報学科に助手として着任。2007年より同専任講師となる。2012年より現職。2014~2018年慶応義塾大学基礎科学・基盤工学インスティテュート(KiPAS)主任研究員。2019年より研究成果活用企業Connect代表取締役社長を兼務。(写真:的野弘路)
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 6カ月。この数字が何を示しているか分かるでしょうか。手などの身体の一部を動かせなくなって6カ月が過ぎると、従来手法のリハビリテーションを続けても、身体機能の回復が著しく難しくなるといわれています。さらに重度の脳卒中の患者だと、6カ月という時間がたつより前に「もう回復が難しい」という言葉をかけられるという話も聞いています。

 そこで私たちはヘッドセット型の脳波測定機器とロボットを組み合わせた装置の開発を進め、これまでにないリハビリを提供することで、主に脳卒中などによって回復の見込みが薄いといわれてきた人々のリハビリ支援に挑戦したいと考えています。

 装置の仕組みとしては、頭部に装着した脳波測定機器が対象者の脳活動を取得し、その取得データを分析して、手に装着したロボットのモーターを動かすというものです。既に装置を利用したリハビリを脳卒中を患った方に試してもらっており、1日1時間、10日間ほど利用してもらうと、装置を外しても、約7割の方に筋肉が何かしら反応するなどの効果がみられました。従来手法のリハビリでは、患者に電気刺激や振動などを与える手法が使われています。ただ先に話したように、機能を喪失してから、時間がたつとリハビリの効果が出にくい状況です。