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「空飛ぶクルマ」や電動航空機は今後急成長する新市場とあって、多くの新興企業が研究開発に力を入れる。モーターだけで飛行するフル電動のVTOL機や、内燃機関を併用して1000km飛べるようにするハイブリッド機まで実にさまざまだ。Airbus(エアバス)のような大手企業も電動航空機の開発に参戦し、競争は激化している。その最前線を追った。

 中国の吉利汽車(Geely Automobile)の親会社で、スウェーデンVolvo(ボルボ)や英国の高級車Lotus(ロータス)を傘下にし、さらにドイツDimlar(ダイムラー)の筆頭株主でもある浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group、以下ジーリー)注1)。そんな爆買い企業が次に目を付けたのが、道路と空中を移動可能な「空飛ぶクルマ」を手掛ける米国の新興企業Terrafugiaである。2017年11月に同社を買収した。

注1) マレーシアの自動車メーカーPROTON Holdings(プロトン・ホールディングス)への出資で、プロトンのロータスの株式を取得した。

 Terrafugiaは2006年設立で、空飛ぶクルマを手掛ける新興企業の中では、「古株」として知られる。競合に先駆けて、2019年に最初の製品を発売する予定だ。製品化で先行するだけでなく、中国の大手自動車メーカーの後ろ盾を得たことで、Terrafugiaは空飛ぶクルマを手掛ける企業の中で、頭一つ抜けた存在になった。グループの自動車メーカーの協力を仰ぎながら、製品化を急ピッチで進める。

 Terrafugiaが2019年に発売する「Transition」は、折り畳み型の固定翼を備えた機体である(図1)。地上走行時は固定翼を折り畳んでおき、空港まで移動し、固定翼を広げて飛行する。目的地そばの空港に到着した後、再び固定翼を折り畳んで、地上を走行して目的地に向かう。航空機としては軽スポーツ航空機として認証を受けている。

図1 空飛ぶクルマを2019年に発売
図1 空飛ぶクルマを2019年に発売
Terrafugiaは、一般車道の走行と飛行が可能な「Transition」を2019年に発売する。従来のエンジンで走行・飛行する。次世代のコンセプト機「TF-X」も公表済みである。同機の特徴は、モーターで2つのファンを回転させることで垂直離発着を可能にしたこと。巡航時は、エンジンを使い、同時に2次電池を充電する。(写真:Terrafugia)
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 走行時は一般的な自動車として認証を受けている。搭載した航空機用エンジン「Rotax 912iS」で発電機を回し、それで得られた電力でモーターを動かし、車輪を駆動して走行するようだ。飛行時は主にエンジンで本体後ろにあるプロペラを回す。高い推進力を得たいときだけ、モーターでプロペラの回転をアシストする。この機能をTerrafugiaは「e-afterburner」と呼ぶ。

 Transitionは、Terrafugiaにとって最初の空飛ぶクルマとあって、幾重にも安全対策を講じる予定である。2018年1月に開催された航空宇宙分野の国際会議「AIAA SciTech Forum」で、Terrafugiaの共同創立者でCTOのCarl Dietrich氏が登壇し、その安全機能を紹介した。