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 強制空冷と自然空冷の大きな違いは冷却ファンの有無だが、設計のアプローチにも差異がある。自然空冷では、煙突効果の作用を除くと、筐体のない方が放熱は向上する。一方、強制空冷では、ダクトの役割を果たす筐体がなかったり、開口部を取り過ぎたりすると、内部の風速が下がり、冷却の効果が落ちる。

 また、自然空冷では発熱体のあるところしか空気の流れが発生しないが、強制空冷の空気流は発熱とは無関係に流れやすい部分を流れる。強制空冷の場合、発熱体を考慮して風の流れを作ることが重要である。そうしないと、ファンが風速を発生しても目的の部分が冷えないことがある。

【原則15】
強制空冷機器は風量で空気を、風速で部品を冷やす

 強制空冷でのファンの使い方は大きく2種類ある。第1は、筐体内外の空気を交換して内部空気温度を下げる「換気扇」としての使い方。より多くの空気を入れ替えるために、風量が重要である。第2は、発熱体の周りに生じる温度境界層を吹き飛ばす「扇風機」としての使い方。風速が重要となる。

 注意したいのは、空冷の効率である。換気扇では、風量が2倍になれば、空気の温度上昇は半分になる。しかし扇風機では、風量が増えても風速が減れば、空冷の効率は下がる。図1に機器内部の温度勾配概念グラフを示した。換気と局所冷却を担うのがそれぞれ換気扇と扇風機である。働き場所や目的に応じた適切なファンの使用方法が肝要である。

図1 外気から発熱体までの温度勾配概念グラフ
図1 外気から発熱体までの温度勾配概念グラフ
換気扇としてのファンは太い実線の部分、扇風機としてのファンは太い破線の部分の冷却を担う。ファンにはそれぞれ異なる働き場所と目的がある。
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【原則16】
ファンを並列にN台置いても、風量はN倍にならない

 ファンの特性は静圧-風量曲線(PQカーブ)で表される。機器に取り付けたファンの実効風量は、ファンのPQカーブと機器の通風特性曲線(P=RQ2)との交点となる(図2)。機器の筐体は一般に穴の開いた箱であり、そこへ空気を通すには圧力が必要である。風量を2倍にするには、4倍の圧力が必要になる。これを表したのが機器の通風特性曲線だ。

図2 PQカーブと実効風量
図2 PQカーブと実効風量
PQカーブは、密閉容器から自由空間までの、ファンの特性を示す。このPQカーブと機器の通風特性との交点が実効風量となる(左)。また、同じ特性のファンを複数台設置した場合、実効風量の増大は台数に比例しない(右)。
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 ファンを高い圧力領域で動かすと騒音が大きくなるため、やや低い圧力領域で用いるのが現実的である。また、複数台のファンを設置しても、圧力の増大により通風効率が低下するため、風量はファンの台数に比例して増えない。風量増大のためには、吸気口を増やして内部圧力を下げるのが良い。このように筐体側の構造を変更する必要がある。

【原則17】
強制空冷の吸排気口は、ファンの流路面積よりも大きくする

 強制空冷機器では流路が大き過ぎると風速が減り、流路が小さ過ぎると風量が減ってしまう。適切な風速と風量を維持するためには、「流路の最小断面積を、ファンの最小流路断面積と同等以上にする」ことが鉄則となる。同時に、換気扇なのか扇風機なのかというファンの目的や、設置の状況などを考慮して検討することが欠かせない。