本連載は、木股氏が「技術者塾:クルマ・セキュリティなどに革新をもたらす赤外線センサー技術」(本誌主催、2016年5月30日に開催)で講演した内容に加筆して再編集した記事である。
赤外線センサー技術の基礎から応用まで
目次
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ナイトビジョンで応用拡大、非破壊検査や宇宙分野にも
最終回
最終回では、赤外線カメラの主力の応用分野の1つである車載向けについて解説する。運転手の夜間の視界を補助するナイトビジョン(暗視装置)システムの搭載車種が徐々に広がっている。
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需要拡大をもたらす低コスト品、スマホ対応など応用動向を詳説
第7回
赤外線カメラ市場では、画素数を数千に抑えた低コスト品が新しい応用分野をつかんで需要を拡大している。今回、こうした低コスト品を中心に、応用動向を紹介する。スマートフォンと組み合わせて熱画像を撮れるコンシューマー市場向け製品や、活発な開発を続けて欧米に迫る存在感を示す中国メーカーの動きについても触れる…
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コスト・性能を決めるレンズ材料、ゲルマニウム以外の候補を比較
第6回
遠赤外線光を取り込んで撮像するカメラ(赤外線カメラ)のコストや性能を大きく左右するのがレンズだ。可視光カメラと異なり、ガラスレンズが使えない。遠赤外光の透過性に優れるゲルマニウム(Ge)をはじめとする既存材料は高価で加工も難しい。
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製造外注とコスト低減を支える、真空パッケージング技術
第5回
熱画像を撮像するサーモグラフィー(温度計測機能を持ったもの)と熱線暗視装置の用途が拡大し、遠赤外線イメージセンサーの需要は拡大基調にある。今回、増産に対応するためセンサー製造を外注する動きと、外注化と低コスト化を促す真空パッケージングについて解説する。カギを握るのは、半導体前工程によるウエハーレベ…
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理論限界に近づく画素ピッチ、縮小の理論と技術を詳説
第4回
サーモグラフィーなどに使われる遠赤外線イメージセンサー(以下、赤外線イメージセンサー)の性能やコスト、性能限界を決める要素について解説する。重要な要素である画素ピッチの縮小のトレンドやそれを律速する要因、さらに縮小を継続していくために必要な技術について触れる。画素ピッチは限界に近づきつつあるが、い…
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温度センサーの基本を理解する、新参企業の特許に注意
第3回
遠赤外線イメージセンサー(赤外線イメージセンサー)の温度検知部(温度センサー)の基本的な方法をいくつか挙げ、その原理を紹介する。主力とされる方式のほか、現在でも多様な方式が存在する。
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受けた熱は逃がさない、ポイントは高断熱技術
第2回
前回は遠赤外線イメージセンサー(以下、赤外線イメージセンサー)の動作原理などを解説した。今回は、性能を決める要因を解説する。特に重要なのは、温度検知部(温度センサー)の断熱性だ。感度などの性能を高めるためには、受けた熱を逃がさない技術が求められる。断熱性は、MEMS(微小電子機械システム)技術の導…
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熱源から放出する赤外線の特性とセンサー素子の構造を理解する
第1回
欧米の自動車メーカーが、暗闇で300m先の人や動物を検知できるセンサー「ナイトビジョン」を相次いで搭載し始めた。安全性を高められ、自動車の安全基準「Euro NCAP」における夜間の歩行者・自転車検知の要件を満たす上でも有効になるだめだ。本連載は、ナイトビジョンに搭載される遠赤外線イメージセンサー…