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サーモグラフィーなどに使われる遠赤外線イメージセンサー(以下、赤外線イメージセンサー)の性能やコスト、性能限界を決める要素について解説する。重要な要素である画素ピッチの縮小のトレンドやそれを律速する要因、さらに縮小を継続していくために必要な技術について触れる。画素ピッチは限界に近づきつつあるが、いっそうの縮小余地がある。(本誌)

 赤外線イメージセンサーの技術レベルを示す仕様のうち特に重要なのは画素ピッチである。縮小すると解像度を高められるとともに低コスト化できる。画素ピッチの縮小は、1980年代に製品化された可視光向けCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー、その後のCMOSイメージセンサーでも継続し、価格対性能比の向上に大きく寄与してきた。1枚のシリコン(Si)ウエハーから取れる素子数を増やせるためだ。加えて、カメラを構成した際に焦点距離を短くでき、レンズを小さくできる。光学系の低コスト化につながる。

 赤外線イメージセンサーの画素ピッチは、製品化当初は50µmだった。現在では10µmに達している(図1)。50µm品は、米Honeywellと米Texas Instruments(TI)が1992年にそれぞれ学会発表した。2001年に25µm、2007年に17µm、2013年に12µm、2016年に10µmの発表があった。10µm品を発表したのは米DRS Technologiesである。製品レベルでは、現在は17µmから12µmへ置き換わっていくところだ。

図1 画素ピッチは10µmへ
図1 画素ピッチは10µmへ
主な赤外線イメージセンサーの画素ピッチを開発発表の年別に示した。1992年に50µmだったが、2013年には12µmに達し、現在では10µmに到達した。(図:筆者)
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 画素ピッチの縮小は可視光向けイメージセンサーよりも難しい。赤外光を受ける面積が小さくなることに加え、十分な断熱を確保することが難しくなるためだ。断熱性を高めるには、支持脚を細く長くすることが必要になる。