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道路から給電を受けて走る走行中給電が実現すれば、余計な電池を持たずに、距離無制限の長距離走行が可能になる。これには、ワイヤレス給電を使うほかに、給電用の架線を使う方法もある。市街地および高速道路にこうした給電機能を導入するための費用は、大容量電池を搭載するEVを普及させる費用に比べて大幅に安い。

 ワイヤレス給電(WPT)を、駐車場などでの停車中の利用だけにとどめていては、本来のポテンシャルを引き出したことにはならない。駐車先のほとんどにWPTシステムを導入すれば、電池の容量増加を抑える効果はありそうだ。ただ、長距離走行時の解にはならず電池容量を大きく減らすことは難しい。給電時の出力が小さいことも、長距離を走る際は不安の種になる。

 抜本的な解決策は、一般道路の要所や高速道路上にもWPTの送電システムを敷設し、走りながら必要な電力を得られる「走行中給電(Dynamic WPT)」を推進することだ。実現すれば、長距離走行用に大きく重い大容量電池を積載する必要がなくなり、ほぼ“手ぶら”で距離無制限のドライブが可能になる(図1)。EVのあるべき姿を研究している東京大学 教授の堀洋一氏も、それが最も移動のためのエネルギー効率が高い方法だと指摘する(「移動のためのエネルギーは持ち運ばず道路からもらえ」参照)。

(a)停車中のワイヤレス給電(WPT)
(a)停車中のワイヤレス給電(WPT)
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(b)走行中給電
(b)走行中給電
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図1 走行中給電ならほぼ“手ぶら”で距離無制限の走行が可能に
車庫や店舗などにおける停車中ワイヤレス給電(WPT)を想定したEVは、依然として長距離旅行向けに大容量の電池を必要とする(a)。一方、道路の要所で給電する走行中給電が実現すれば、搭載する電池は5k~10kWhでも走りながら電力を受けられるので航続距離は無制限になる。

 ただ、そのためのインフラ敷設コストが天文学的に高いのではないかと疑う人はいるだろう。詳しくは後述するが結論は「意外なほど低コスト」である。実際、この2年ほどで、実現可能性の高さとメリットに気が付いた国内外の研究機関や自動車関連メーカーなどが続々と研究開発に乗り出している。