次世代2次電池の開発は、最近は海外メーカーの動きが目立つ。全固体電池の量産に中国メーカーが名乗りを上げ、負極でSi系活物質の割合を80~100重量%に高めたと主張する例も出てきた。一方で、次世代正極の利用は電解液の分解という壁にぶつかっている。今後の大きな発展には、液体、固体を問わず次世代電解質の開発がカギを握っている。
エネルギー密度が高い次世代2次電池へのニーズは高まる一方だ。第1部で紹介したように、全固体電池の量産が民生品向けで始まりつつあるが、それ以外でもさまざまな要素技術の開発が同時並行的に加速している(図1)。
中でも目立つのが、大きく2つの動きだ。(1)電気自動車(EV)向けの全固体電池を実用化し量産しようという動き、(2)負極に次世代材料を使う動きである(図2)。
(1)のEV向け全固体電池については、海外、特に米国で特定のベンチャー企業に日本を含む世界中の企業から数十億円から100億円超の資金が集まり始めた。最近はこの動きについに中国企業も参戦。具体的には、電池向けセパレーターの製造を主力事業とする中国Qing Tao Energy Development(清陶能源)が2018年末に年産0.1GWh規模の全固体電池の製造ラインを構築し、2020年には年産0.7GWh規模で量産すると発表した。量産する電池の重量エネルギー密度は当初は300Wh/kg。ただ、実験室では400Wh/kgを実現しており、量産でも徐々にこれに近づけていくとする。