
米国政府が中国の通信機器メーカーなど5社からの調達を禁止する方針を打ち出したことで、通信業界のみならず、産業界全体に波紋が広がっている。最大の“標的”は、華為技術(ファーウェイ)だ。基地局やスマートフォンばかりが注目されているが、同社は5G(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)を通じて産業界に広く浸透している。ついには、米国政府による“排除”に根拠がないとして提訴に踏み切った。産業界に地位を確立した同社の実力を多面的に検証した。
米国政府が中国の通信機器メーカーなど5社からの調達を禁止する方針を打ち出したことで、通信業界のみならず、産業界全体に波紋が広がっている。最大の“標的”は、華為技術(ファーウェイ)だ。基地局やスマートフォンばかりが注目されているが、同社は5G(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)を通じて産業界に広く浸透している。ついには、米国政府による“排除”に根拠がないとして提訴に踏み切った。産業界に地位を確立した同社の実力を多面的に検証した。
自動車や制御機器にも浸透
華為技術(ファーウェイ)の製品が使われているのは、もはや通信業界だけではない。自動車や制御機器といった産業界全体に広く浸透している。同社は、自社技術の積極的な標準化、パートナー企業を巻き込んだ研究開発、トヨタ自動車から学んだ生産技術などさまざまな取り組みによって、現在の地位を確立した。
セキュリティー騒動の深層
通信機器のセキュリティーに関する米国と中国企業の攻防は、今に始まったことではない。華為技術(ファーウェイ)は10年以上も前から米国市場への参入をうかがい、そのたびに排除されてきた。一方で、英国やドイツなどでは完全排除とはならない情勢だ。同社を巡る問題は長期化する可能性が高い。
スマートワークスの酒井美里氏が調査
華為技術(ファーウェイ)の実力を裏付ける指標に特許がある。同社や、同じく中国の通信機器メーカーである中興通訊(ZTE)は、国際特許出願件数で長年にわたって上位を占めるなど、知財戦略にも力を注ぐ。従来は主に特許訴訟の“訴えられる側”だった両社が、今後は“訴える側”に回ることも増えそうだ。 (本誌)